2020 Fiscal Year Research-status Report
The Quest for a New Legitimacy Principle for Transboundary Governance
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19K21677
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
興津 征雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 行政法 / スポーツ法 / 正統性 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大のため、予定していた国内外の出張が取りやめになるなど、研究計画の大幅な修正を余儀なくされた。そのため、2020年度は、文献研究を中心に進め、研究課題の基本的コンセプトについて論文を執筆し、公表する作業が中心となった。 公表業績のうち、「スポーツ競技団体の裁量権と行政法的思考」は、スポーツ競技団体という私的主体の裁量統制に行政法規範が適用される理由を探究したものである。小文であり、またスポーツ法という個別分野を素材とした研究ではあるが、本研究課題の実践的意味を問う論文として、重要な意味がある。なお、この論文では主として現状分析を行うにとどまったが、その後さらに理論的分析を進め、理論的基盤を明らかにした論文を2021年度中に公表したいと考えている。 「正統性の構造分析」は、公的・私的主体のガバナンス作用について、正統性を問う意味と条件を、公法学のみならず法哲学・政治哲学の文献をも参照しつつ理論的に探究したものである。正統性とは何かについて、権威の概念と対比しつつ分析を行ったうえで、意思説と利益説という二つの対抗的理論モデルを提示し、意思説の難点として裁量問題、包摂問題、代表問題の3つの問題が存在することを明らかにするとともに、利益説もなお課題を抱えていることを指摘した。まさに本研究課題にいう「正統性原理」を模索するための理論的橋頭保を築く意味を持つものであり、本研究の最も重要な成果であるといえる。 そのほか、判例研究を2点公にした。実定法の見地から正統性を探究するためには、地道な実定法の分析を欠かすことはできず、判例研究も本研究にとって重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大のために、予定していた国内外の出張を取り止めざるを得ず、国内外の研究者との意見交換や、研究成果の発表の場が十分に確保できなかったため。ただし、前述のとおり研究方法を文献研究に切り換え、成果は着実に挙げることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響を受けて、予定していた外国出張やインタビューなどが実現できなくなったため、2021年度は、引き続き、研究計画調書に記した計画に従って、研究を進める。ただし、新型コロナウイルス感染症が今なお終息の兆しを見せていないことから、状況に応じて柔軟に計画を変更しつつ、研究活動を止めずに着実な成果を挙げることができるように、研究を推進する。 なお、2021年度においては、研究成果を一般向けまたは学生向けに解説した入門書またはケースブックの作成を計画しており、出版に至れば、それを関連分野の研究者や実務家に頒布してフィードバックを得ることも計画している。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響を受けて、予定していた外国出張やインタビューなどが実現できなくなるなどの理由で、大幅な次年度使用額が生じた。2021年度は、引き続き、研究計画調書に記した計画に従って、研究を進める。なお、2021年度においては、研究成果を一般向けまたは学生向けに解説した入門書またはケースブックの作成を計画しており、出版に至れば、それを関連分野の研究者や実務家に頒布してフィードバックを得ることも計画している。
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Research Products
(7 results)