2019 Fiscal Year Research-status Report
高等教育「後背地」理論モデル構築への挑戦的研究:オルタナティブな理論を目指して
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19K21742
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲永 由紀 筑波大学, 大学研究センター, 講師 (80315027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 圭一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30249924)
猪股 歳之 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60436178)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 高等教育 / 地域 / 影響評価 / 後背地 / 学問中心地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高等教育機関の地域配置および高等教育の地域社会的効用について、高等教育(あるいは高等教育機関)の地理的影響範囲をベースにした高等教育「後背地」理論モデルの確立を目指すとともに、現在の高等教育領域の研究知の偏在を問い直すオルタナティブな高等教育研究領域を切り開くことにある。そのための研究実施計画として、①高等教育と所在地域社会との関係を検証するためのデータベース構築およびインディケータの妥当性の検討、②特定の「高等教育過疎地」における機関ヒアリングならびに学内外関係者のフォーカスグループインタビュー、③総括、の3つのパートを置き、研究を進めている。 今年度前半は、研究代表者が高等教育と地域・社会に関してこれまで取り組んできた研究成果を博士論文としてとりまとめた(2019年11月、九州大学より学位授与)。本学位論文は本研究の前段となる重要な研究成果のとりまとめとして位置づけられる。その上で、今年度後半からは本格的に、①②に取り組んだ。特に、この2つに共通して必要な「高等教育過疎地」の調査対象候補となり得る地域の絞り込みに必要なデータを収集し、整理・検討をおこなった。その結果、高等教育機関の地理的な偏在状況が具体的に明らかになってきている。関連して、地方所在大学への事前的な訪問調査を実施し(他科研と共同)、大学の影響範囲のおよぶ地理的範囲の検証単位を都道府県のサブレベル(地域経済圏レベル)に置く必要があることを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度前半に研究代表者の博士学位申請論文のとりまとめおよび審査が集中的に入って時間をとられたことで、今年度後半から実質的に本課題での研究活動をスタートさせることになったため。ただし、スタート後は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題による研究スタートの遅延を可能な限り早く取り戻しつつ、平行して本格的に②(特定の「高等教育過疎地」における機関ヒアリングならびに学内外関係者のフォーカスグループインタビュー)に入る予定である。ただし、現在進行している新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、研究計画遂行に影響が出る可能性を懸念している。これらについては、時々の状況に沿った研究内容の見直しと同時に、確実に研究を遂行すべく、研究分担者の補強(2名)を現在申請中である。
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Causes of Carryover |
今年度前半に研究代表者が博士学位申請論文のとりまとめと審査に時間を費やさざるを得なくなったために、今年度予定していた訪問調査等の一部が実施出来なかったこと、訪問調査の一部を他の科研と合同で実施したこと、研究打合せのほとんどをテレビ電話(スカイプなど)システムを用いることによって経費を抑えたこと、の3点により、次年度使用額が生じることとなった。 次年度は、コロナ禍の影響をどの程度受けるか予測できないところもあるが、基本的には当初の計画通り、データ収集・分析、および訪問調査を引き続き実施することにしている。活動強化のために、研究分担者の補強を予定している(申請中)。
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Research Products
(7 results)