2021 Fiscal Year Annual Research Report
SPOCK-1生体タンパクを応用した安全性に優れた革新的歯周病予防薬の開発
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19K22721
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
佐野 朋美 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 歯肉増殖症 / SPOCK-1 / 実験的歯周炎 / サイクロスポリンA / 炎症性サイトカイン / RANKL / 破骨細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
SPOCK-1が、上皮間葉転換を介して薬物性歯肉増殖症の病因に関わることを、SPOCK-1過剰発現マウスを用いて解明した。SPOCK-1には複数の分解酵素阻害作用があることから、逆に炎症性歯周炎の進展を阻止する作用があるか否かについて、同マウスを用いた検討を行った。まず、サイクロスポリンA (CysA)を食餌に混合させマウスに投与することで、歯肉肥厚がさらに亢進するか今かを検討した。結果、CysA摂取で歯肉肥厚はさらに亢進した。この明らかな歯肉肥厚が惹起された状況において、絹糸結紮による実験的歯周炎を惹起させ、歯周炎の進行状況について検討を行った。結果、結紮により歯肉肥厚は一層亢進し、大臼歯部の歯冠を覆うほどの肥厚が観察され、ヒト薬物性歯肉増殖症の重症例に酷似した病態を示した。そこで歯槽骨吸収の程度についても検討を行ったところ、CysA投与と絹糸結紮の群で激しい歯槽骨吸収が観察され、ヒト重度歯周炎の病態に類似した病像を呈した。そこでこの機序をin vitroの件で解明するため、組換SPOCK-1をマクロファージに添加して、LPS誘導性のサイトカイン産生を観察した。結果、SPOCK-1はマクロファージからの炎症性サイトカイン産生を抑制する一方で、RANKL誘導性の破骨細胞分化を促進した。さらに過剰発現マウスの結紮歯肉において、RANKL発現が亢進しており、OPG/RANKL比の低下が観察された。つまり、SPOCK-1は炎症性サイトカイン産生は著明に抑制するものの、破骨細胞の分化を促進することで歯周炎の進行を促進させることを新たに明らかにした。SPOCK-1には抗炎症作用はあるものの、一方でRANKLの作用を促進する機能があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)