2019 Fiscal Year Research-status Report
環境・遺伝・エピゲノム交互作用のコホート縦断的解明:学童期肥満の早期予防へ
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19K22730
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (00619885)
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
三浦 りゅう 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (20506414)
湊屋 街子 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (50733367)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
川野 佐智子 (伊藤佐智子) 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90580936)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | エピゲノム / コホート縦断的研究 / 肥満リスク / DNAメチル化 / 胎児期環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学6年生時の肥満度が20以上(日本小児内分泌学会)の肥満傾向児218名、および肥満傾向でない児282名、合計500名のケースサブコホート集団を対象とした。7歳児の受動喫煙は小児肥満のリスク要因であったが、妊婦(母)の喫煙とは関係がなかった。小児肥満の有無によって臍帯血DNAメチル化率に差異があるCpGを抽出することを目的に、児の性別で層別化したロバスト線形回帰、および経験ベイズ法を用いて解析した。従属変数には臍帯血DNA約85万CpGのエピゲノム網羅的メチル化(EPIC)データ、独立変数に小児肥満の有無、母の出産時年齢、学歴、および細胞組成を投入した。多重比較を考慮しFDR q < 0.05を有意水準にした。全体および男児では肥満と関連するCpGサイトは抽出されなかったが、女児で小児肥満と関連する5か所のCpGが抽出された(HECW1:cg15299402、UTS2:cg26405913、INF2:cg02878289、MIR200A:cg25101291、EXT1:cg14779140)。これまでに小児肥満とDNAメチル化の関連を検討した先行研究は限られており本研究で抽出されたCpGおよび遺伝子は先行研究の結果と一致しなかった(Kresovich et al 2017, Kupers et al 2019, Yang et al 2018)。欧米人が対象であるため日本の結果は一致しなかったと思われる。一方、DNAメチル化と出生体重や喫煙との関連を検討した研究では、男女合わせた解析でHECW1およびINF2は児の出生体重(Kupers et al 2019)や胎盤形成(KYB et al 2018)、および胎児期の喫煙(Juubert et al 2016)の関連が報告されている。本研究では女児のみの解析では臍帯血DNAメチル化と小児肥満が関連した。小児肥満発生機序に関与するエピゲノム修飾には男女差があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学6年生時の肥満度=(実測体重-標準体重)/標準体重×100(日本小児内分泌学会)が20以上の児を肥満傾向と定義した大規模出生コホートの小児肥満ケースコホート集団を対象に、臍帯血DNA約85万CpGのエピゲノム網羅的メチル化解析(イルミナ社のInfinium MethylationEPIC BeadChip)データを用いて、小児肥満に関係するリスク要因、および小児肥満に関係するCpGサイトを抽出した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き小児肥満に関与するエピゲノム変化を検討するため、DNAメチル化変化の領域解析および機能解析を実施する。合わせて、臍帯血中アディポサイトカインなどの生体試料の測定も検討する。
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Causes of Carryover |
臍帯血DNA約85万CpGのエピゲノム網羅的メチル化解析(EPIC)を実施するため、高性能のPCと解析ソフトの購入を予定していたが、他の研究費で購入したPCを使用することで、研究費を効率的に使用した。 令和元年から繰越した研究費は、令和2年度で生体試料の分析に使用する予定である。
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