2023 Fiscal Year Annual Research Report
近代的書記言語の形成過程の解明-ベトナム語の虚詞と文法史的変化を通して-
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19K23047
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
鷲澤 拓也 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30847083)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム語 / 近代文学 / 文法化 / 近代的書記言語 / 文法機能語 / チュノム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、博士課程からの研究の延長ではあるが、2つの項目「ベトナム漢字音とチューノムの関係」「ベトナム語による漢文の読み方」を執筆していた『漢字文化事典』(日本漢字学会編、丸善出版)が刊行された。前近代にベトナム語を表記する手段であり、フランス領時代まで用いられたチュノム文と、主な書記言語であった漢文との関係について、またチュノムとベトナム語の音声に関して一般向けに発表することができたこれらの項目には、今回の研究成果も反映されており、社会貢献になったと考えている。 研究期間の初年度には、海外渡航もしながら、期間開始前から続く研究の成果を発表し、論文も執筆することができた。ベトナムの書記言語について、海外の研究者と交流もしながら、他の言語との比較もすることができ、視野を広げた研究をすることができた。 しかし、期間全体を通じて、ベトナム語の近代的書記言語としての発展については、パンデミックでの海外渡航困難等の諸要因により当初考えていたまでの成果をあげることはできず、テキストの作成、ワークショップの開催といったこともできなかった。ただし、近代ベトナム語文学を収集、データ化し、業者に依頼しながらもPython等を用いて分析し、ベトナム語の中のいくつかの語が文法化した時期を、データに基づいて特定し、考察を加え、論文等の一定の形で発表できたこと、そして今後の研究に向けた足掛かりをつかむことはできたことには、意義があったと考える。
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