2019 Fiscal Year Research-status Report
Estimating the contribution of forest infrastructure investment during logging operations considering current and future timber volume
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19K23211
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
安達 啓介 神戸学院大学, 経済学部, 講師 (50846780)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 割引現在材積 / 森林作業道 / 林道 / 森林インフラ / 林業投資 / 集約的施業 / 費用効果分析 / 社会的な効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、森林作業道や山土間、林道などの「森林インフラ」が、伐採時点が異なる各伐出時期の作業に実質的にどれだけ貢献しているかを特定し、そのような林業投資の経済的効果を合理的根拠に則って明確に評価できる理論・評価法を確立することである。 2019年度は、その第一段階として、金森(2017、2018a)で示された「割引現在材積」の概念を用いた森林インフラの費用推定法を一般化した。さらに第二段階として、金森(2018b)で得た福井県スギの相対幹曲線を応用することで、立木1本当たりの経済的価値の変化を割引現在材積に組み入れることで、森林・林業に特化した費用効果分析法を構築した。具体的には、径級ごとの立木丸太価格に関する過去データをもとに、各径級の丸太の相対価格比の推移を特定し、その結果を費用推定時の重みづけに用いることで、伐出対象とする立木の質(径級)をも考慮できる評価手法に改良した。この成果の一部は「林業経済学会2019年秋期大会」、「福井県木材利用研究会」(招待講演)、「中部森林学会」において発表・報告した。 また、第三段階として、この評価手法を用いて福井県内における木質バイオマス発電の社会的コストをシミュレーション分析を行った。これによって、当地域における木質バイオマス発電に社会的にかかっているコストを特定できた。この成果は「第15回バイオマス科学会議」において発表した。 ※)「金森」は筆者の旧姓
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度に関しては問題なく研究を進められただけでなく、2020年度に実施予定だった研究を前倒ししてできた。2020年度は、構築した理論・評価法をより精密化し、それを応用した実証研究を追加的に実施していく。 2020年度は、当初予定していた木質バイオマス発電の社会的コストの特定のほか、新しい課題として、切り捨て間伐の社会的な効率性、林道事業評価への応用可能性を追加して、研究を深化させていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年4月時点では、当初予定したよりもはるかに早いペースで研究を進行できており、すでに本研究の中核である理論・評価法はほぼ完成している。その応用研究も昨年度に実施することができた。既に発表している研究のうち、理論・評価法に関する論文は2020年度中に「林業経済研究」に投稿予定である。また、この理論・評価法を応用した木質バイオマス発電の社会的コストに関する研究については「環境経済・政策研究」に今年度中に投稿する予定である。 研究計画の大枠についての変更はない。だが、新型コロナ感染症の拡大を受けて、2020年度に予定していた福井県内の森林組合への聞き取り調査を開始できていない。事態が収束しない限り対面での調査は控えるつもりであるが、その場合は質問票での調査に切り替える予定である。ただしそれも不可能である場合は、既存の採取データ、林業統計データをもとに補完しながら研究を進める。
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Causes of Carryover |
理由:2020年2月、3月に購入を予定していた物品、および発表予定であった学会が、新型コロナ感染症の拡大を受けて、その大半が延期またはキャンセルとなってしまったため。 計画:もともと購入を予定していた物品については、5月上旬以降、購入可能となるため、予算の使用はそれ以降予定通り行っていく。
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