2019 Fiscal Year Research-status Report
多世代共生コミュニティの持続可能性と課題の解明―コレクティブハウジングを事例に―
Project/Area Number |
19K23263
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Research Institution | Hyogo Earthquake Memorial 21st Century Research Institute |
Principal Investigator |
稲見 直子 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 研究戦略センター, 主任研究員 (90846114)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 多世代共生 / 持続可能性 / コレクティブハウジング / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コレクティブハウジング(以下、コレクティブ)を題材に、持続可能な多世代共生コミュニティがいかにして可能になるのかを明らかにすることである。 少子高齢化が進展する日本社会において、多世代共生社会の構築が学術的かつ社会的に重要な課題となっている。本研究は、家族の枠組みを超え、単身世帯や家族世帯など様々な世帯が多世代で暮らすコレクティブという取り組みを事例に、上記課題を解明する。 1年目の研究では、コレクティブにおける「話し合い」に着目し、そこでのコミュニケーションの技法、及びコンセンサスの形成過程について調査を進めてきた。研究対象は、これまでフィールドワークを実施してきたコレクティブハウス秋桜(以下、秋桜)である。調査方法は、コレクティブが重視する「話し合い」となる、月1回の定例会と年2回のワークショップの観察である。観察では「話し合い」における居住者間のやりとりやコンセンサス形成過程の特徴に加え、多世代で共住していく上でどのようなコンフリクトが生起し、それを「話し合い」を通じていかに解決していくのかなど、持続可能な多世代共生を図るための「話し合い」の技法に着目し、データ収集を行った。 本研究は、従来の血縁や婚姻を基盤とした家族の枠組みを超え、価値観や生活様式が異なる多世代の人たちによる新たな相互扶助型の社会モデルを提示できる点で、社会的にも学術的にも意義を有するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始直後からフィールドワークを実施でき、これまで行ってきた研究に加えて新たな調査データを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2年目の研究では、引き続き定例会やワークショップ等の「話し合い」の観察を行うほか、居住者個別にインタビュー調査も実施し、各自が「話し合い」をどうとらえているのか、職場や自治会の会議等とはどのように異なるのか、「話し合い」での工夫や困難についても調べていく方針である。 また、研究成果についても積極的に発信を予定しており、社会学分野での学会報告や学術雑誌への論文投稿も行っていく。
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Causes of Carryover |
3月に実施予定だったいくつかのフィールドワークや参加予定だった研究会が、コロナウイルスの影響により中止となったため、次年度以降の使用が生じた。 使用計画としては、フィールドワークや研究会参加費用にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)