2019 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on the transmission and acceptance of risk reports of the Fukushima Daiichi nuclear accident
Project/Area Number |
19K23273
|
Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
桶田 敦 大妻女子大学, 文学部, 教授 (50848504)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 原発事故 / テレビ報道 / 放射線リスク / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
「福島第一原発事故のリスク報道の伝達と受容に関する実証的研究」は、東日本大震災と第一原発事故から9年目となる2019年度の原発事故関連の報道、特に、福島と東京圏での報道内容を比較研究することを目的に進めている。 2020年3月11日前後の福島県と東京圏でのニュースや報道番組をすべて録画し、その量的あるいは質的内容分析を進めている。現在、分析途中であるが、今年最大の特徴は、新型コロナウイルス感染対策の一環で、政府主催の東日本大震災慰霊祭が開催されなかったため、3月11日にいわゆる報道特別番組として、特別番組枠を開いたのは、民放2局のみだったことである。NHKも「ごごナマ」という通常番組の形を保ちながら、番組内容を震災関連にする、といった対応をとっていた。来年がいわゆる周年報道でも10年という節目になることから、前年である2019年3月は、当日以外の「特集企画」も目立った番組は多くなかった。 一方、テレビ報道の内容分析と共に、インターネットパネルアンケートを実施した。調査は、東日本大震災発生日時である3月11日直後の2020年3月16日から18日の3日間。インターネット調査会社に登録しているパネラーを対象に行った。対象者は,20歳から69歳の男女で,年代男女毎に10のマトリックスを作り,それぞれ100人の回答が得られるよう調整した.福島,東京,大阪それぞれ1000人から回答を目標にしたが,結果として各都府県1030人,計3090人から回答を得ることができた. 調査は,先行研究として、三菱総研が行った「福島県の復興状況や放射線の健康影響に対する東京都民と福島県民の意識や理解度を把握するためのアンケート調査」(2017年8月9日~17日実施)があり、比較検討の対象とするため、できるだけ設問の文言、設問枝を合わせるように行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「福島第一原発事故のリスク報道の伝達と受容に関する実証的研究」において、2019年度は,原発事故から9年となる3月11日前後の報道番組を、福島と東京において収録し、報道内容の比較検討を進めているところである。 また,3月16から17日にかけて、在福島県、東京都、大阪府の20歳以上の住民に対し、インターネットによるパネル調査(各1000人,それぞれの年代・男女各100人)を行った。これについても、現在、調査結果の分析中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、福島第一原発事故から9年を迎えた2020年3月11日前後の報道番組の内容分析と、3月16日から18日に行ったインターネットパネルアンケートをまとめ、今年度中に公表する予定で調査分析を進める。 そのうえで、来年2021年3月に東日本大震災と原発事故から10年という節目を迎えるにあたって、在福島と東京キー局の報道担当者に、10周年に向けた取材、企画のヒアリングを行う。事故当初にあった、福島と東京キー局との議題設定の差異が、10周年を迎える2021年も同様に差があるとの作業仮説を立てて、事前ヒアリングと10周年報道の内容分析を行っていく。 また、去年から今年にかけて争点になっている、放射性物質トリチウムを含む汚染水の海洋投棄問題への、福島局とキー局との取り組みについて、重点的に調査研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた福島等現地調査がコロナウイルス感染症対策の影響で行えず、翌年度に持ち越しになってしまったため。 2020年度に現地調査を改めて予定している。
|