2019 Fiscal Year Research-status Report
市区町村の授業スタンダード施策に対する教師の受容度に影響する要因
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19K23300
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 俊也 大阪工業大学, 教職教室, 講師 (80847757)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 授業スタンダード / 受容度 / 市区町村 / 学校 / 教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、授業の手引きとして教育委員会での作成が広がっている「授業スタンダード」を教師がいかに受容しているのか、そして教師の受容度に影響する要因は何かについて明らかにするために、質問紙の作成と配布を行った。 本研究は、市区町村教育委員会・学校・教師の3つの階層性を考慮して検討することを目指している。市区町村教育委員会に対する調査は実施済のため、本研究では学校レベルと教員レベルを対象に質問紙調査を実施した。校内研究体制などの各学校の実態を調査するために「校長用」「研究主任用」を、個々の教員の実態を調査するために「一般教諭用」の質問紙を作成した。質問紙の作成にあたっては、教育行政学や教師教育研究、教育心理学、経営学など多くの研究領域における知見を参考にした。 予備調査では、3市の小・中学校12校で勤務する教員に対して質問紙を配布した。予備調査で得られたデータを確証型因子分析などによって検討し、その結果を踏まえて質問項目を再度精査して本調査で用いる質問紙を確定した。 本調査では、本研究以前に行った調査で授業スタンダードを作成していると回答した全国の市町村に所属する小・中学校のうち、原則として1自治体あたり小・中学校3校ずつをランダムに選定した。本研究について理解を得られた59自治体に属する295校に一括して質問紙を郵送し、各校に対してできる限り電話で調査への協力を依頼した。教員単位での回収数は集計中であるが、学校単位での回収数は219校(回収率74.2%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算上の制約のため、予備調査と本調査について当初の計画より規模を縮小して行った。しかしながら、本研究の目的を達成するうえで特段の支障はないと考えられる。 進捗状況としては、当初の計画通り、研究初年度に予備調査と本調査を終えることができた。また、調査対象校にできる限り電話で依頼することで、高い回収率を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本研究の質問紙調査で得られた結果を、すでに実施している市区町村教育委員会への調査結果と統合し、市区町村教育委員会・学校・教師の階層性を考慮して検討する。授業スタンダードの受容度とその要因を実証的に示すだけではなく、地方教育行政はいかに教師による教育実践を支援する必要があるのかという展望を考察することも目指す。また、本研究の分析結果は、次年度に関連学会に論文として投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
図書については、学内研究費の活用によって、支出を抑制することができた。また、発送作業をすべて研究代表者が行ったため、人件費はかからなかった。 次年度では、回収した質問紙の入力作業を外部機関に依頼する。また、調査結果を報告書にまとめ、協力を得られた自治体や学校に郵送する予定である。そのため、初年度の残額を含めた助成金は、入力作業の委託費用や報告書の作成費・郵送費に活用する予定である。
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