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2019 Fiscal Year Research-status Report

国語科における「語彙学習力」の育成-学習者視点からの語彙単元の開発-

Research Project

Project/Area Number 19K23337
Research InstitutionUniversity of Fukui

Principal Investigator

萩中 奈穂美  福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (40851712)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2021-03-31
Keywords語彙学習力 / 語彙指導 / 語彙力 / 国語科 / 単元開発
Outline of Annual Research Achievements

「語彙指導の改善・充実」が謳われているが、学習者が授業において習得する語彙はどうしても「限定的」であり、多くの語彙は日常生活の中で生涯を通して「偶発的(無計画的)」に習得されていく。こうした宿命をもつ語彙習得には、自らの意志で語彙を学んでいく能力こそが肝要なわけで、そのような能力を本研究における「語彙学習力」とする。なお「語彙学習力」の育成の必要は従前より指摘されはしているものの、その具現化については課題とされてきた。
そこで、まず「語彙学習力」の内実を仮説的に設け、その一つとして「語句を捉える観点の豊かさ」の育成を目指した授業実践(平成30年度F中学校にて実施済)の分析を行った。その結果、語彙単元開発において、共通体験を題材とした書くことの活動の文脈に必要感のある体系的語彙指導を挿入すること、学習者の使用頻度が高く類義語が豊富で、実際に文脈の中で使用された語句を核とした語彙を扱うこと、順序付けという言葉あそび的な活動の中で協働性を発揮した分析活動に取り組ませることなどの有効性を明らかにすることができた。
また、詩の読解における語彙指導という上位とは別の授業実践(平成31年度F中学校にて実施済)の分析を行った。語彙単元での既習内容と語彙への関心が、詩の学習においても語彙的発想を促し、豊かに感受しながら読解、鑑賞していく様相を見て取ることができた。特に、語彙の体系的認識を活かして作品世界を語彙体系として作り上げようとする態度が見られ、語彙学習力の成果としての具体像が明らかになった。こうした事実から、語彙単元と他領域の単元との関連性を考えたカリキュラム編成の必要性についても示唆を得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

関係の諸文献をもとに国語科教育における語彙論の理解、語彙指導やその実践に関わる先行研究を概観した。
まず、平成31年実施済みの自身の研究実践(書くことと結んだ語彙単元)について、学習成果物の分析をもとに、題材、対象語彙、学習過程、学習活動等の有効性を検討した。これについては、国語科教育の学会にて、研究発表を行い、参会者から有益な示唆を得ている。また、H31年度実施済みの自身の研究実践(語彙学習を組み入れた詩の読解の授業)についても、学習成果物の分析をもとに、対象語彙、学習活動、発問等の有効性を検討した。これについては、国語科教育関係の研究集会での発表し、本年中に発行予定の共著においても成果を執筆中である。
なお、指導者対象の語彙指導に関する質問紙調査を1月及び2月に実施することができており、現在、集計を進めているところである。
加えて、現場教員に対して語彙指導についての講演を行い、本研究成果の一端を教育現場に還元することもできた。
以上、おおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

今後は、学習者自身が語彙力を望む場面や習得への意識の実態調査を進め、その結果を踏まえて「語彙学習力」を育成する語彙単元の要件(題材、対象語彙、学習過程、学習活動等)を洗い出す。特に、有効であるとの仮説を立てている文章作成と語彙学習との統合単元案を語彙単元の一案として提出する。対象は中学校における指導である。その際、学会において指摘を受けた、語句選択後に文章に語句を埋め戻す指導について「語彙学習力」との関係からその在り方を追究したいと考えている。
また、本研究の中核概念である「語彙学習力」については、国語科における語彙指導やその実践に関わる先行研究の整理を通して、その概念に揺れがあることが分かってきた。本研究における「語彙学習力」概念規定については、仮説的に設けてすすめているため、現場に資する「語彙単元開発」を見据えて、学習者の具体的な姿で示す方向で再検討し明示したいと考えている。

Causes of Carryover

今年度の研究必要経費が僅か77円残ったわけだが、これでは使用することは不可能であった。
次年度については、この残金も合わせて、今後の研究に必要な書籍、学会参加のための旅費、研究発表に必要な機器や印刷費などに使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 言葉への意識を育てる語彙指導2020

    • Author(s)
      萩中奈穂美
    • Organizer
      一宮市国語研究会
  • [Presentation] 国語科における『語彙学習力』の育成-語句を捉える観点を豊かにする指導-2019

    • Author(s)
      萩中奈穂美
    • Organizer
      第137回全国大学国語教育学会
  • [Presentation] 語彙的な発想を用いた詩の指導-感性的思考と論理的思考の補完によって想像を促す-2019

    • Author(s)
      萩中奈穂美
    • Organizer
      第58回国語教育実践理論研究会研究集会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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