2019 Fiscal Year Research-status Report
Hyperlogarithmの関係式を用いた、多重ゼータ値の関係式の研究
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19K23396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 菜穂 東北大学, 理学研究科, 助教 (40846854)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 多重ゼータスター値 / hyperlogarithm / 多重ポリログ / 反復積分 / 多重ベルヌーイ数 / ベルヌーイ多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hyperlogarithmと呼ばれる変数付き反復積分の特殊値として多重ゼータ値が現れる。今年度は主に多重ゼータスター値の関係式族およびベルヌーイ多項式について研究を行った。 多重ゼータスター値は等号付き多重ゼータ値とも呼ばれ、2通りの反復積分で表せることが知られている。このうちの一つである2色有向グラフを用いた反復積分表示を利用することにより、多重ゼータスター値のある関係式族を得た。 多重ポリログを用いてベルヌーイ多項式を多重化したものを多重ポリベルヌーイ多項式と呼ぶ。この多項式の計算アルゴリズムを大野氏との共同研究において昨年度までに得ていた。今年度は、ベルヌーイ多項式の計算アルゴリズムについて、関連する2重数列の母関数の各係数を明示した。この成果は多重ポリベルヌーイ多項式の計算アルゴリズムの場合にも応用できると期待している。 関連研究として、有限多重ゼータ(スター)値と呼ばれる多重ゼータ(スター)値から派生した研究対象がある。有限多重ゼータ値および有限多重ゼータスター値の巡回和公式を昨年度までに小山氏との共同研究において発見していた。この成果をまとめた論文はActa Arithmeticaに掲載決定された。 Hyperlogarithmを用いて、多重ゼータ値の関係式族間の関係性について取り組んだが、一般には解明に至らなかったので、次年度の課題としたい。その他、本研究及びこれまでに得られた研究結果を紹介する講演発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、研究目的として計画していたものの一つであった多重ゼータスター値のある関係式族を証明することができた。このことから、多重ゼータスター値の関係式族に関する研究は進んだと言える。この成果をさらに拡張できると考えている。 また、ベルヌーイ多項式の計算アルゴリズムに関連する2重数列の母関数の各係数を明示した。多重ポリベルヌーイ多項式の計算アルゴリズムの場合にも応用できると考えており、この研究は次年度も継続する予定である。 様々な研究集会やセミナーに参加し、本研究に関連する講演を聴講したことや他の研究者との議論により、最新の研究内容および情報の収集をすることができた。さらに、関連理論の習得や新たな研究課題の模索などに役立てることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、Hyperlogarithm、多重ゼータ値および多重ゼータスター値に関して研究を進める。Hyperlogarithmの関係式を用いて、多重ゼータ値の関係式族間の研究を進める。今年度得られた多重ゼータスター値の関係式族の拡張に着手する。ベルヌーイ多項式の一般化である多重ベルヌーイ多項式の生成アルゴリズムに関する研究にも取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、今年度末に参加予定だった学会や研究集会、セミナーなどが中止になり出張することができなくなったため、次年度使用額が生じた。さらに、予定していた海外出張もなくなったことも原因の一つである。 次年度は新型コロナウィルスが落ち着いた後に学会や研究集会、セミナーなどに参加し、成果報告を行う。さらに、参加者である研究者たちと積極的に討論を行う。特に、九州大学を訪れ、金子昌信氏、佐藤信夫氏、広瀬稔氏が参加する代数セミナーや多重ゼータセミナーに参加し、成果を発表する. さらに、意見交換をするとともに更なる進展について議論をする。また、京都大学RIMSへ出張し、研究集会「解析的整数論とその周辺」にて成果を発表するとともに最新の情報の収集を行う。さらに、Oxford大学(フランス)を訪れ、hyperlogarithm研究の中心人物であるF. Brown氏に成果を報告し、意見交換をするとともに更なる進展について議論をする計画である。本研究を遂行するため、「Wolfram Mathematica」などのソフトウェア、hyperlogarithmや多重ゼータ値などの本研究に関連する専門図書を購入したいと考えている。
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Research Products
(5 results)