2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K24184
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
杉野 由起子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (40728911)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者 / 心臓手術 / 在宅移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の心臓手術の安全性と延命効果が証明され、高齢者の心臓手術は通常の手術として行われている。その一方で、加齢による機能低下や併存疾患のため、術後合併症を発症しやすく、入院期間の延長、退院後のQOLの低下や再入院などの問題が報告されている。本研究では、心臓手術後の高齢患者の回復パターンとQOLを明らかにし、在宅移行ケアプログラムの構築を目的としている。本研究に先立ち、心臓術後の入院期間延長の予測因子に、術前血清アルブミン、手術時間、せん妄が明らかにされた。この研究では、予測因子の有無による回復過程の差やパターンの特徴を分析し、それに応じた「心臓手術後の高齢者に対する在宅移行ケアプログラム」を構築する予定である。 今年度は、心臓手術後の高齢者の回復パターンとQOLを明らかにするために、心臓術後に退院した高齢患者6名に対し、退院時、退院後1か月、退院後3か月に、Meleisの移行理論を基に作成したインタビューガイドを用いて、手術後に生じた体調や症状の変化、継続する体調の変化や症状への対処、退院後からの身体症状の経過や変化、健康状態を維持するための考えや取り組みについての半構成的インタビューを実施した。また退院後1か月と3ヶ月の時点での健康関連QOL(SF-8日本語版)と、入院中から退院後3ヶ月における、検査データ、認知機能測定値、身体機能、再入院、予定外受診等の診療録調査を行った。6名の対象者は、退院後2週間から1か月までは、創痛、下肢のむくみ、食欲低下、不眠などの症状が継続している傾向にあり、3か月の時点で症状が緩和される傾向にあった。症状などの訴えが聞かれていても、QOLは概ね良好であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
退院後3ヶ月までの追跡調査を行う必要があるが、自宅退院ではなく転院事例が増加したこと、COVID-19感染拡大の影響により、対面でのインタビュー調査が困難または同意を撤回されるなどのケースが続き、予定より遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者の確保のために、転院のケースであっても、短期で退院後1か月の外来受診が可能なケースは、継続して対象に含める。対面のインタビューが困難なケースは、電話インタビューなどで対応するなど、計画修正について倫理審査に諮り対象者を確保していく予定。またインタビュー内容、身体測定、診療録調査で得られたデータを、回復パターン別に分類し、その特徴に応じた在宅移行ケアプログラムを構築する。
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Causes of Carryover |
予定よりもインタビュー調査が遅れたこと、COVID-19の影響により、研究活動が縮小されたことが主な原因である。 今年度は、昨年度予定していたインタビューの実施、データのテープ起こし、分析過程におけるスーパーバイズなどで、旅費や人件費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)