2020 Fiscal Year Research-status Report
Low Fertility and Gender Wage Gap with special attention to Employment Practice
Project/Area Number |
19KK0042
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30277355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
寺村 絵里子 明海大学, 経済学部, 教授 (70598870)
玄田 有史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90245366)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 女性労働 / 男女賃金格差 / 家庭内生産 / 昇進構造 / 出生タイミング |
Outline of Annual Research Achievements |
男女の昇進構造の分析と、女性の就業とケア活動の分析を行った。 女性の管理職昇進に安倍政権のウーマノミクスが有意な効果を持ったかを分析した論文を、英語の出版物の1章としてCambridge University Pressから出版した。女性の管理職昇進は、安部政権のウーマノミクス政策以後、また加えて女性活躍推進法施行後に、統計的に有意に高まったと示された。しかし昇進に対する学歴、年齢の効果には、きわめて大きい男女差が依然としてあることも示された。『賃金構造基本統計調査』を用いて、1000人以上の大企業について、出生コーホート別に、正社員男女の管理職昇進を検討すると、女性の昇進年齢は、均等法前の世代は、男性に比べてきわめて低かったが、加えて年齢的にも50歳代になってはじめての昇進者が少数出現するなど、昇進時期も男性に対して大きく遅れていた。こうした年齢上の差異は若いコーホートほど縮小はしており、そうした変化は有子正社員女性へのインタビュー調査からも明らかになった。しかし統計からみれば、若いコーホートでも、男女の昇進確率の差は大きく違うことが示された。 一方、男性の昇進は、若い世代ほど正社員に限定したとしても、同じ年齢での昇進確率が下がっていることが示されている。非正社員の割合が増加傾向にあるため、男性雇用者全体でみると、若手男性の昇進確率は、一層下がっていると言えよう。女性については、正社員の昇進確率は若い世代ほど上がってはいるものの、非正社員を含めるとかなり下がる。日本的雇用慣行の構造変化が求められているが、変化は限定的である。 また、中高年女性は6歳未満の孫をケアしている場合には、就業確率や労働時間が有意に減少することがわかった。また中高年女性が孫だけでなく親のダブルケアもしている場合には、精神状態が悪化することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年は、7月から9月に、代表者と分担者とで米国滞在をし、聞き取りを行う予定であった。2021年度は聞き取りに基づいて独自の質問紙を作成することを企画していたが、COVID19の蔓延で渡航できず、この計画は延期している。
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Strategy for Future Research Activity |
米国滞在を伴う研究は、延期し、コロナがおさまったら旅費、滞在費、現地調査費用として使う予定である。ICTを通じて、海外の共同研究者と打ち合わせをし、当初予定していた聞き取り調査やこれに基づいた調査実施について、コロナ環境もあるので検討し直す。また日本や海外のミクロ統計の分析、研究手法の深化を行う。
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Causes of Carryover |
2020年には、研究代表者および複数の研究分担者とで米国滞在をし、海外共同研究をすすめる予定であった。しかしコロナ禍の影響で米国に渡航できなかった。
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Research Products
(22 results)