2022 Fiscal Year Research-status Report
Low Fertility and Gender Wage Gap with special attention to Employment Practice
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19KK0042
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30277355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
寺村 絵里子 明海大学, 経済学部, 教授 (70598870)
玄田 有史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90245366)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 女性労働 / 少子化 / 社会的保護 / 正規雇用 / 非正規雇用 / 米国 / 管理職 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナの収束により研究代表者が2022年度後期を中心にハーバード大学に滞在し、研究協力者のメアリ・ブリントン教授と共同研究をすすめた。 米国管理職の女性比率は相対的に高いと知られるが、どのように家庭との両立をしているのか、分担研究者の寺村絵里子教授とともに聞き取り調査を行った。米国の女性管理職は厳しい競争に面しつつも、転職を選択肢に入れ、収入や地位達成にストレートな貪欲さを示していること、また日本の女性雇用者に比べると、家庭との両立についての全般に自己評価が高い様子を聞き取った。 統計分析面では、研究協力者とともに政府統計の分析をすすめた。また昨年度実施したWEB調査「独身男女のライフプランと金融リテラシー調査」の分析を継続し、合わせて2021年末に代表者が委員として参加した内閣府男女共同参画局「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」の分析を行った。 2021年に実施されたこの2つのWEB調査は双方ともに若者の出産意欲の下落を示した。また非正社員の未婚男女は、正社員と比べると出産意欲が低いことが共通して示された。 シングル男女の収入と幸福感をテーマに統計分析を行ったが、個人収入が低いことや、パートナーがいないことは、シングルの幸福感を有意に引き下げていた。年収が低い未婚者は、親同居によって50歳代までは一定の等価所得を保てている。しかし親同居そのものは、意外にもシングルの女性の幸福感を有意に引き下げていた。2000年以降、日本の労働市場の変化の中で若年層の非正規雇用就業が拡大してきた。非正規雇用の拡大は、生涯の低収入と出生意欲の低下を引き起こすものであることが改めて明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために、当初米国で予定していた面接調査を延期し続けてきたが、2022年に実現できた。米国の研究協力者ともこれからの進め方を話し合えたことで研究がすすんだ。 少子化と雇用慣行に関する研究成果については、学会発表や学術論文だけでなく、「全世代型社会保障」の日本記者クラブでの発表「子を持つことはリスクか」、内閣府男女共同参画局委員会における発表(3回)、子ども家庭庁準備室での発表、ESRI政策フォーラムなどにおいて、また「書斎の窓」などにおいても発信をした。社会の要請が高い課題をテーマとした研究として成果を発信しつつ研究をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
日米対比で面接調査をさらにすすめ、これに基づき量的調査も行いたいと考えている。 正規社員と非正規社員の働き方の格差を縮小するために、働き方をどうかえていくのか、その道筋を考えていく。 当初はもう1か国(たとえばドイツなど)との比較も考えていたが、コロナのために海外調査が遅れているため、二か国比較を深めたいと考える。
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Causes of Carryover |
来年度の調査分析に利用する。
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Research Products
(25 results)