2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the consumer-oriented breeding system in blueberry based on genomic and cognitive sciences
Project/Area Number |
19KK0156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (10211997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 玲子 京都大学, 農学研究科, 研究員 (20713043)
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 果樹 / 園芸 / 嗜好性 / 栽培化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,アメリカ農務省のSouthern Horticultural Research Unit(SHRU)のBabiker研究員と行う5年間の共同研究である.研究2年目に当たる本年度は,昨年度に引き続いてサザンハイブッシュブルーベリー(南部HB)のゲノム進化過程の解明を進め,さらにゲノムワイド多型情報を用いた関連解析を行った.またブルーベリー遺伝資源の果実代謝物プロファイリングとブルーベリー果実に対する嗜好・分析型官能評価調査研究については,昨年度にBabiker研究員と立案した研究を実施した.得られた具体的な研究成果は以下の通りである. 南部HB,ノーザンハイブッシュブルベリー(北部HB),ラビットアイブルーベリー(RE)を含む,総計137品種系統からなるブルーベリーの遺伝資源を用いて, ddRAD-seqによりゲノムシークエンシングを行った.得られたゲノム情報を解析して,ゲノム全体にわたるSNPs情報を整備した.ゲノムシークエンス情報に加えて,過去の交配記録も参考にして,解析を行ったところ,南部HBと北部HBの差異に関わる少数の遺伝子座が検出された.これらの遺伝子座における集団中のアレル頻度と遺伝子型のパターンから,南部HBにみられる適応形質は,ポリジーン支配である可能性が示唆された. ブルーベリー23品種について,京都大学農学部に属する20~30代の男女32名を対象にgLMS法による嗜好・分析型官能評価を実施した.各品種において,果実硬度,果実弾力,糖酸度,糖酸組成,総アントシアニン含量,総ポリフェノール含量を測定し,代謝物データとした.PLS回帰法を用いた嗜好性の要因分析結果から,糖度・糖酸比・果実弾力・果実サイズは嗜好性に対して正の影響を,酸度・ポリフェノール含量は負の影響を及ぼすことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の影響で,海外出張が出来ない状況下にあって,本研究の最終目標である日本独自の高品質ブルーベリー育成のための最適経路をもたらす育種方針とマーカー育種体系を確立のために必要なサザンハイブッシュブルーベリーの成立過程に関して,一定の成果が得られた.また昨年度までにBabiker博士と立案した消費者嗜好型育種に向けた嗜好・分析型の官能評価試験に関する実験計画を遂行することが出来たため,おおむね順調に研究は進んでいると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
まだしばらくの間,本国際共同研究に及ぼすCOVID19の影響は避けられないものと考えられる.そこで日本側研究者が現地に赴くことなく,米国側研究者であるBabiker博士が実験を遂行して得た結果と情報を共有することで進めることが可能な研究を中心に行っていくことにする.この際にはリモート会議などを通じて,研究の詳細について打ち合わせをしていく.これまでに得られている結果については,早期にとりまとめて論文投稿する.本研究のもう一つの柱である,ブルーベリー果実に対する嗜好・分析型官能評価調査:分析型評価については,大きさや色彩,甘味や酸味の度合い,触感,香りの強さといった項目について,評価者の五感により評価させる実験の反復を行い,昨年度に得た結果の検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,COVID19の影響を大きく受け,海外出張が禁止されたため,実験室で行う実験を拡充するための物品費の経費は増大したが,当初の研究計画通りに海外出張が出来ず旅費経費は大幅に予算を下回った.このため,次年度使用額が生じた.COVID19によるパンデミックが終息して,通常の海外出張が可能になり次第,カウンターパートのBabiker博士と本研究の効果的実施方法を検討して,未遂行の実験を実行する予定である.
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Research Products
(9 results)