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2019 Fiscal Year Research-status Report

経済新興国インドにおけるギグ・エコノミーと新しい信頼関係の可能性

Research Project

Project/Area Number 19KT0044
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

池亀 彩  東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (40590336)

Project Period (FY) 2019-07-17 – 2022-03-31
Keywordsギグエコノミー / 新興国 / 人類学 / インド / デジタル労働
Outline of Annual Research Achievements

プロジェクトの1年目にあたる令和元年度では、まずギグエコノミーに関する文献の収集と分析を行った。ここでは、P2P技術によって生まれたギグエコノミーという新しい社会現象に対して、特にアメリカ合衆国での研究状況の認識に努めた。本研究の対象でもある配車サービスアプリとウェブ上のデータ処理などの単発の仕事を行う人々に関する研究がすでにある程度行われていることが分かったが、どれもジャーナリズム的・叙述的なもので、学術的な理論貢献を目指すものではない。ギグエコノミーそのものが新しいため、仕方のないことではあるが、社会学・人類学での理論的展開が待たれるところである。

フィールド調査は、研究代表者交流会で指摘されたことを受け、元々のインドでの調査に拘らず、広く比較研究を進めることを目指した。主な調査は、日本、シンガポール、マレーシアで行った。特にマレーシアでは滞在していた2019年12月末から2020年2月上旬に20件ほどのインタビューを行うことができた。日本では2019年に新しく設立されたUberEatsのドライバーたちの組合立ち上げに参加し、数人のドライバーの体験などを聞くことができた。この間ドライバーにインタビューする際の問題点が見えてきたこと、質問のやり方など今後改善すべき課題が明らかになった。

3月にはインドでの調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、インドに入国することができず、調査の目処がたっていない。そのため研究の進捗状況はやや遅れている。しかし、ある意味ではこのような世界的な危機においてギグエコノミーがどのような反応をするのかを見極める良い機会であるともいえるだろう。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

文献調査によって、世界的な研究状況の把握を行い、理論的な研究がまだ出てきていないことを明らかにした。
他の地域との比較のため、日本、シンガポール、マレーシアで簡単なインタビューを行い、異なる地域でのギグエコノミーの現れ方の違いが徐々に明らかになってきている。

2020年3月にはインドでの2-3週間のフィールド調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、インドに入国することができず、調査の目処がたっていない。そのため研究の進捗状況はやや遅れている。日本、シンガポール、マレーシアでのインタビュー経験を踏まえて、多くのドライバーに簡単なインタビューをするよりも、数人のドライバーにより深いインタビューを行うことの方が、状況の把握を行う上で重要であることが明らかになった。これを今後のインド調査に役立てていきたい。

また、インドでは地方から都会に出てきた若者たちが、配車アプリのドライバーとなりギグエコノミーを支えていたが、インドの新型コロナ感染の拡大防止策で地方へ戻らざるを得なくなった若者たちが今後、どのように都市に戻ってくるのか(あるいは戻ってこないのか)など、新しい局面を迎えていることを調査していく必要があるだろう。

Strategy for Future Research Activity

プロジェクトの2年目にあたる令和2年(2020)度は「デジタル労働」という概念を理論的に発展させ、開発人類学や「感情労働」などの理論展開というより大きな枠組みに位置付ける作業を進める。

本来であれば2年目はフィールド調査を本格的に展開する年であるが、新型コロナウィルスの感染拡大のため、インドでの調査をいつ始めることができるか正確には分からない状況である。インドへの入国が認められれば、8月に2-3週間の調査、12月に3週間程度の調査を行う予定である。また計画では国際ワークショップを開催する予定であったが、これはオンラインで開催することも視野に入れつつも、3年目の前半に行うこととしたい。

コロナ危機によって、例えばテレワークやオンライン授業、UberEatsなどの「デジタル労働」は今後も飛躍的に拡大していくことが予想される。一方で本研究が主な対象としている配車アプリのドライバー業は壊滅的な打撃を受けている。今後、どのように回復していくのか、デジタル労働とギグエコノミーの社会学・人類学的意義を考察する上で大きなターニングポイントを向かえていることは明らかで、この機会に調査できることをむしろ好機と捉え、柔軟に対応していきたい。

Causes of Carryover

新型コロナ感染拡大のためインドが全土封鎖政策を3月に導入したため、入国ができず、予定していたフィールド調査ができなかったため、旅費、人件費などを今年度中に使用することができなかった。調査は次年度以降に繰り下げて行う予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2020 2019

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results,  Invited: 3 results) Book (2 results)

  • [Presentation] New Dalit assertion and the rejection of Buffalo sacrifice in South India2020

    • Author(s)
      Aya IKEGAME
    • Organizer
      International Workshop Visible (and Invisible) Boundaries of Distinction and Exclusion
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 南インドのダリトによる水牛供犠の拒絶ー人類学的研究はどう彼らの声を聞き そこねたか?2020

    • Author(s)
      池亀彩
    • Organizer
      第八回 FINDAS 研究会「ダリトは語ることができるか―南アジアの民族誌的研究の課題」
    • Invited
  • [Presentation] Devotion and Slavery: submissive agency and development in modern India2019

    • Author(s)
      Aya IKEGAME
    • Organizer
      Ito International Research Centre Symposium
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Guru Governance: Devotional Citizenship and Rural Development in Southern India2019

    • Author(s)
      Aya IKEGAME
    • Organizer
      the 48th Annual Conference on South Asia
    • Int'l Joint Research
  • [Book] South Asian Sovereignty: The Conundrum of Worldly Power2019

    • Author(s)
      Gilmartin, David Price, Pamela Ruud, Arild Engelsen
    • Total Pages
      234
    • Publisher
      Routledge
    • ISBN
      978-1-1383-2359-9
  • [Book] いま、部落問題を語るー新たな出会いを求めて2019

    • Author(s)
      山本栄子・山本崇記
    • Total Pages
      432
    • Publisher
      生活書院
    • ISBN
      978-4-86500-100-6 0036

URL: 

Published: 2021-01-27  

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