2008 Fiscal Year Annual Research Report
センサータンパク質の信号伝達における共通立体構造の役割
Project/Area Number |
20038037
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 操 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (10464257)
|
Keywords | 時間分解共鳴ラマン分光法 / 光センサータンパク質 / BASドメイン構造 / イエロープロテイン / 変異体 / 水素結合 / チロシン残基 |
Research Abstract |
センサータンパク質には、外部刺激センサーとなる補欠分子族だけではなく、それを取り囲むセンサードメインの立体構造が共通であるものが多く存在する。本研究は、PASドメインとよばれるセンサードメインの共通立体構造が、タンパク質の生理機能に果たす役割に注目し、外部刺激により引き起こされるタンパク質ダイナミクスを、時間分解紫外共鳴ラマン分光法をもちいて実時間観測し、機能発現機構の解明を目的とする。 本年度は、PASドメインを有する最も基本的な光センサータンパク質であるイエロープロテインにおいて、光センサーであるp-クマル酸が励起状態にある場合におけるタンパク質構造変化を詳細に追跡した。イエロープロテインの紫外共鳴ラマンスペクトルには、タンパク質骨格中に含まれるチロシンおよびトリプトファン残基の振動バンドが選択的に観測される。p-クマル酸の光励起により、チロシンおよびトリプトファン残基の振動バンドには、それぞれ、水素結合および疎水性の変化があることを示すスペクトル変化が観測された。イエローケロテイン分子中にトリプトファン残基は1個存在するのみであるため、トリプトファン残基のスペクトル変化は、Trp119残基の構造変化に由来すると帰属した。チロシン残基は分子中に5個あるため、変異体測定により帰属を行った。Tyr42残基はp-クマル酸と直接水素結合しているため、その構造変化がスペクトル変化に寄与する可能性がもっとも高いと考えられる。とのため、Tyr42→Phe変異体の時間分解紫外共鳴ラマン測定を行った。その結果、野生型で見られたスペクトル変化は観測されなかった。このことから、p-クマル酸が励起状態にある場合のチロシン残基のスペクトル変化は、唯一Tyr42残基に由来すると帰属した。
|
Research Products
(4 results)