Research Abstract |
当年度は,最初にマイクロ・プロフィットセンター・システム(MPCS)と人間心理の関連性についての最終的な分析モデルを構築した。モデルの主たる構成要素は,自己効力感,チーム効力感,自律的動機づけ,MPCSの情報特性・運営方法,チーム内インタラクション,チーム間インタラクション,およびチーム成果である。モデルの完成にあたっては,実際にMPCSを導入している企業へのヒアリング調査の結果を参考にし,より現実的妥当性の高いものを構築すべく留意した。次いで,上述した当該モデルの実証に先立ち,MPCSの導入と効果に関するモデルを実証的に検証した。具体的な実施事項は,1. 予備調査の実施と質問票の修正,2. 製造業3136社に対する郵送調査の実施,3. データの集計,4. 統計解析である。以上により,MPCの導入の促進要因として,セル生産システムの採用,変革の必要性を強く認識していること,技術的な優位性があり,激しい価格競争にさらされていないこと,日本でのものづくりを継続し,雇用を確保する意思が強いことが析出された。 またMPCの効果にポジティブな影響を及ぼすのは,MPCの構成人数の少なさ,目標達成を強調していること,経理部門がMPCSの運営に対して友好的に協力していること,全員参加方式でMPCSが実施されていること,現場の非会計部門の管理者が強くMPCSにコミットしていること,現場の作業員が自分たちが生産している製品について知らない程度が低いこと,労使関係が良好であること,以上7点が析出された。
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