2009 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻類に含まれるフグ寄生性カイアシ類の新規駆虫成分に関する研究
Project/Area Number |
20580220
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅川 学 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (60243606)
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Keywords | フグ / カイアシ類 / Copepoda / 興奮性アミノ酸 / カイニン酸 / Pseudocaligus fugu / Takifugu rubripes / 紅藻類 |
Research Abstract |
魚類寄生虫であるカリグス科とその近縁種のカイアシ類は魚類の組織、血液などを栄養源としており、世界の水産業に巨額の損害を与えているが、その効果的な駆除法はなく、安全な駆虫剤の開発が急務とされている。このような社会情勢のもと、海藻の当該寄生虫に対する駆虫活性を数種カイアシ類の寄生したクサフグTakifugu niphoblesを用いて調べたところ紅藻類のいくつかにきわめて高い駆虫活性が認められた。本研究課題では、これらの成分を単離し、その化学構造や駆虫活性の詳細を調べるとともに、同様の興奮性アミノ酸の一種であるドウモイ酸やカイニン酸などの既知成分との化学構造の比較から構造活性相関も視野に入れた新たなフグ類をはじめとする魚類寄生虫駆虫剤を開発する上での基礎データを入手することを目的としている。今年度は、主として、前年度の研究成果をもとに、主として駆虫活性成分の単離を中心に研究を進めた。試料には、2009年6月に沖縄県石垣島のリーフにて採取したマクリ[海人草(カイニンソウ)]Digenea simplex 2000g(湿重量)を用い、液体窒素による凍結後、藻体を粉砕し、蒸留水による浸せきにより活性成分を抽出した。引き続き、得られた粗抽出液を透析チューブ(3500 cut off)に入れ、蒸留水に対して充分透析し、透析外液を減圧濃縮後、活性炭クロマトグラフィー、ODSクロマトグラフィー(日本精密科学)により活性画分を得た。最後に、得られた活性画分をBio-Gel P-2カラム(φ20×300mm)に負荷し、0.03M酢酸にて活性成分の分画(Fr.1~100,5mL/Fr.)を行った。その結果、マクリには、少なくとも3つの活性成分が存在し、Fr.12~19には、2つの大きな画分Fr.I,Fr.IIがあり、TLC、HPLCによる分析結果からそのうちの1つがカイニン酸であることが判明した。一方、Fr.80以降にも2つのピーク(Fr.III,Fr.IV)が認められたが成分の特定には至らなかった。これら未同定成分の早急な特定と活性評価を行う予定である。
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Research Products
(3 results)