2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射後の肝障害シグナル伝達機構の解明とHGFによる修飾について
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20790880
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
今枝 真澄 群馬大学, 医学部, 医員 (30451727)
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Keywords | 放射線照射後肝障害 / TGF-beta |
Research Abstract |
放射線照射後の肝障害および肝線維化発生のメカニズムを解明するため,まず肝障害モデルラットを作製した.6週齢雄ラットを麻酔下で開腹し,肝臓を露出させ,肝臓の背側にタングステン鉛板を挿入,肝背側腸管への照射を避けるようにセットした状態で肝への選択的照射を行った.照射群は15Gyおよび30Gyの1回照射を施行した.未照射群および15Gy照射群では長期生存(8ヶ月全例生存)を認めたのに対し,30Gy照射群では4週以降に徐々に死亡が確認され,長期生存は2割程度であった.肝組織の検討を行ったところ,15Gyおよび30Gy照射群では照射後4週程度で肝細胞障害と再生現象が出現しており,30Gy照射群では肝障害での死亡が示唆された. 次に未照射群・5Gy・15Gy・30Gy群において照射後24時間・1週・2週・4週で血清及び肝組織を採取し,照射後1ヶ月までの血清中の肝酵素やアルブミン値また肝組織内のTGF-beta発現について,照射後の経時的変化および照射線量依存があるか検討した.肝組織内のTGF-beta発現は照射線量依存性に有意に発現の上昇を認めた.血清中アルブミン値は2週まで徐々に低下し,4週以降回復する傾向にあり,線量依存性に変化が大きかった.血中肝酵素に関しては明らかに有意な変化は認めなかった.また4週まででは明らかな線維化の所見も認めなかった.今後は肝細胞障害と再生現象に関する検討として,肝組織のTUNEL染色・MIB1染色の追加し,放射線照射による肝障害発生について組織学的にさらに検討をすすめる予定である.
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