2020 Fiscal Year Annual Research Report
地球型惑星の比較に基づく惑星大気・宇宙環境に固有磁場強度が与える影響に関する研究
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20H00192
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 華奈子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20345854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 泰信 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 准教授 (00362210)
桂華 邦裕 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10719454)
寺田 直樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (70470060)
海老原 祐輔 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (80342616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 惑星大気進化 / 宇宙環境 / 固有磁場 / ハビタブル惑星 / 大気散逸 / 内部磁気圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大気を持つ地球型惑星の比較に基づき、惑星大気・宇宙環境の理解に向けた2つの重要な要素(宇宙空間への大気散逸と内部磁気圏の形成)に、固有磁場強度が与える影響を解明することを目的としている。そのために、独自の多成分MHDモデルと内部磁気圏モデルを観測との比較を通して改良するとともに、多流体MHDモデルを新たに開発する。開発したモデルを用いて3つの主要課題(1.大気散逸の質量依存性、2.内部磁気圏形成の影響、3. 固有磁場強度による大気散逸機構の変化)を系統的に整理し、固有磁場強度が惑星大気・宇宙環境に与える影響を明らかにすることを目的としている。以下では2020年度の主な成果を報告する。 ・既に非磁化惑星および弱磁場惑星への適用実績がある地球と火星の双方の大気組成に対応可能な独自の多成分MHDコードを用いて、太陽風-惑星大気相互作用のグローバルシミュレーションを行った。特に、定常太陽風条件下に加えて、太陽風の主な変動現象であるCME(コロナ質量放出)の到達時を想定して、IMF(惑星間空間磁場)が回転した場合の大気散逸を詳しく調べ、弱磁場を持つ惑星からの大気散逸のIMF角度依存性を明らかにした。 ・地球大気散逸データ解析の一環として、地球上層電離圏からの電離大気散逸機構を調べるために、EISCATレーダーによる電離圏におけるイオン上昇流と衛星観測との比較を行った結果、低高度からのイオン流出を引き起こすために、SAPSなどの局所的な電場の強まりによる摩擦加熱が重要であることが明らかとなった。また、低高度からのイオン上昇流の統計解析に着手した。 ・内部磁気圏モデリングについては、単純化した磁気圏尾部からのイオン入射を模した5次元ドリフト運動論近似のグローバルシミュレーションを実施し、環電流発達によるULF波動の励起を世界で初めて自己無撞着に再現することに成功するなどの結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画初年度には、観測との比較による数値モデルの改良・開発に着手するため、主に数値実験に携わるポスドク研究員の雇用を開始するとともに、数値モデル開発やデータ解析環境を整備する予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により海外からの研究者招聘や雇用が難しくなったこともあり、ポスドク研究員の雇用開始を遅らせることになった。また、関連するEISCATレーダーのキャンペーン観測についても海外渡航を延期するなどの影響が出たため、経費の一部を繰越申請した。 ただ、多流体MHDグローバルモデルについては、既存の研究チームで開発に着手し、宇宙環境における挙動や大気散逸機構のイオン質量依存性を調べるために、イオン種毎に運動方程式とエネルギー方程式を解き、光化学反応を取り入れた、太陽風から電離圏までをシームレスに解く1次元多流体磁気流体(MHD)モデルの開発を行い、基本的なコードの動作確認をした上で、高度と太陽天頂角の2次元への拡張を行った。 2020年度は全ての海外渡航を延期したが、オンラインで対応できる部分はオンラインを活用し、現地作業が必要な部分については海外の研究協力者に作業を依頼するなどして、ある程度は当初の計画に沿って研究が進展したが、影響が完全に取り除けたとは言えないため、2020年度末時点での研究の進捗状況は「やや遅れている」と評価している。ただしその後、2020年度に行う予定だった内容については、2021年度中に概ね研究計画を遂行済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もしばらく新型コロナウィルス感染症拡大の影響は続くと想定されるため、海外の研究協力者との共同研究部分については、引き続きオンラインで対応できる部分はオンラインを活用し、現地作業が必要な部分については海外の研究協力者に作業を依頼するなどして、研究を遂行する予定である。また、状況を見つつ、延期していた対面での打合せなども集中的効率的に進めることを検討したい。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Effects of the IMF direction on atmospheric escape from a Mars-like planet under weak intrinsic magnetic field conditions2021
Author(s)
Sakai, S., Seki, K., Terada, N., Shinagawa, H., Sakata, R., Tanaka, T., & Ebihara, Y.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Space Physics
Volume: 126
Pages: e2020JA028485
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Low-Altitude Ion Upflow Observed by EISCAT and its Effects on Supply of Molecular Ions in the Ring Current Detected by Arase (ERG)2021
Author(s)
Takada, M., Seki, K., Ogawa, Y., Keika, K., Kasahara, S., Yokota, S., et al.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research
Volume: 126
Pages: e2020JA028951
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Vertical Propagation of Wave Perturbations in the Middle Atmosphere on Mars by MAVEN/IUVS2020
Author(s)
Hiromu Nakagawa, Naoki Terada, Sonal K. Jain, Nicholas M. Schneider, Franck Montmessin, Roger V. Yelle, Fayu Jiang, Loic Verdier, Scott L. England, Kanako Seki, Hitoshi Fujiwara, Takeshi Imamura, Nao Yoshida, Takeshi Kuroda, Kaori Terada, Hannes Grテカller, Justin Deighan, Bruce M. Jakosky
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Journal Title
Journal of Geophysical Research
Volume: 125
Pages: e2020JE006481
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Martian oxygen and hydrogen upper atmospheres responding to solar and dust storm drivers: Hisaki space telescope observations2020
Author(s)
Masunaga, K., K. Yoshioka, M. S. Chaffin, J. Deighan, S. K. Jain, N. M. Schneider, T. Kimura, F. Tsuchiya, G. Murakami, A. Yamazaki, N. Terada, and I. Yoshikawa
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Planets
Volume: 125
Pages: e2020JE006500
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Seasonal and latitudinal variations of dayside N2/CO2 ratio in the Martian thermosphere derived from MAVEN/IUVS observations2020
Author(s)
Yoshida, N., H. Nakagawa, N. Terada, J. S. Evans, N. M. Schneider, S. K. Jain, T. Imamura, J.-Y. Chaufray, H. Fujiwara, J. Deighan, and B. M. Jakosky
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Planets
Volume: 125
Pages: e2020JE006378
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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