2020 Fiscal Year Annual Research Report
読書活動に結びつく高校国語科授業のあり方と書く力の向上との連関についての探求
Project/Area Number |
20H00679
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三根 直美 広島大学, 附属高等学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 –
|
Keywords | 書く力 / 読書活動 / 読解力 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的:高校生の不読率が高い中,その克服には授業内容や教室環境の改善が突破口となると考え,一年間を通して読書活動と生徒の書く力の向上との連関を探った。 ○研究方法:広島大学附属高校2年生40名を対象に読書実態アンケートを4月と3月に実施した。また書く活動(①新書の紹介文②読書感想文③意見文④「であることとすること」を学習後に書かせた意見文⑤指定新書を読んでの意見文)を実施し,④⑤について共通の3観点(構成/根拠/主張)のルーブリック基準に従ってA評価(10点)B評価(6点)C評価(4点)として採点し,データ分析した。 ○研究成果:データ欠損のない30名を対象として実践時期(11月/1月)の前後で得点向上が見られるか,対応のあるr検定を用いて比較を行った結果,3観点のいずれにも実践時期による有意な差は見られなかった。 一方実践時期の前後での個々のルーブリック評価の変化を見ると,「構成」で上昇が7名,変化なしが15名,低下が8名,「根拠」で上昇が8名,変化なしが16名,低下が6名,「主張」で上昇が8名,変化なしが17名,低下が5名という結果だった。数値上に有意な変化は見られなかったものの,実践時期の前後の平均値はいずれも6.5点以上で,ルーブリック評価の変化がなかった者が約半数を占めている。これらはある程度の文章表現力を生徒が有していたとも考えられる。一方ルーブリック評価の3観点とも向上している生徒を個別に見た場合,4名中3名は現代文Bの評定が5で高い読解力を有しており,前回より評価を上げようと意欲があったり,枠を与えなくても自分の意見を述べられたからだと予測される。また3観点中2-3低下した生徒5名は,現代文Bの評定が3-4で読解力が少し不足しており,枠を与えた方が書き易い,独りよがりな意見になる傾向があった。生徒実態に応じて,枠を与える,評価を継続する必要性が提案できる。
|