2020 Fiscal Year Annual Research Report
「情報を精査・解釈する力」の育成を目指した幼小接続期の学習プログラムの開発
Project/Area Number |
20H00733
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 由衣 神戸大学, 附属学校部, 小学校教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 幼小接続 / 非連続型テキスト / 挿絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
国語科における「情報を精査・解釈する力」とは,連続型テキスト(文学的文章や説明的文章等)や非連続型テキスト(図表,グラフ等)から必要な情報を取り出し,情報同士を関連付けることで読みを深める資質・能力のことである。しかし,PISA2015においても「情報を精査・解釈する力」に関する問題は有意に低い結果を示しており,特に非連続型テキストの扱いが課題となっている。一方で,教科書では,まだ説明的文章における図表やグラフの扱いに対象が限定されている段階にある。学術的には,文学的文章における非連続テキストである「挿絵」を対象とし,挿絵から読み取った情報と文章から読み取った情報を関連づけることで読みを深めることの重要性が指摘(目黒,2010)されているものの,具体的な学習プログラムの開発は十分行われていない状況にある。また,挿絵に着目した文学的文章教材の学習プログラムを開発することは,入学以前の読みの経験を生かして子供の読みの力を系統的に育成することにつながる可能性が高いため,幼小接続期の読みに関する学習の在り方を改善する点でも意義があると考えられる。そこで,本研究では低学年を対象として,挿絵に着目した文学的文章教材の学習プログラムの開発することを通して,「情報を精査・解釈する力」を育成することを試みた。 2020年度は,基礎研究として第2学年「スイミー」「お手紙」を題材に,児童の実態調査を行った。分析の結果,少なくとも挿絵の読み取りにかかわる3つの児童の様相が明らかになった。まず「挿絵は読み取りの対象とせず,叙述のみ読み取る様相」,次に「挿絵と叙述を個々に読み取る様相」,最後に「挿絵と叙述を関連づけて読み取る様相」である。また挿絵と叙述を関連づけることで,読みを深める児童の存在も確認された。 今後は,明らかにした児童実態を基に学習プログラムを具体的に開発,実践していきたいと考えている。
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