2020 Fiscal Year Annual Research Report
北海道の先住民族であるアイヌ民族の物語をもとにした高等学校段階における創作活動
Project/Area Number |
20H00761
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Research Institution | 北海道帯広柏葉高等学校 |
Principal Investigator |
戸川 貴之 北海道帯広柏葉高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アイヌ民族 / 多文化共生 / 国語科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、グローバル化が進む中で、異文化理解、多文化共生の重要性が指摘されることも多くなった。とかく、国外に視線が向きがちであるが、北海道においては、尊重すべき異なる文化を持つアイヌ民族が今なお生活を営んでいる。私は、自らはアイヌ民族でなくとも、アイヌ民族を同じ日本に住まう隣人とし、その文化に対する関心と理解を深めるべきであると考える。そしてその文化に対する認知は全国的なものとなるべきであるが、現実は未だ不十分な状態である。本研究では上記の問題意識を背景に、以下の5つのテーマを掲げて取り組んだ。 国語の授業で使用可能なアイヌ民族の「物語」の探索として研究者の残した資料の調査、各地に残る文学作品の記録の原本、北海道各地の図書館、博物館に所収されている資料の調査、Youtube動画の視聴、現代の絵本や書籍によるアイヌ民族の文学作品の収集、博物館と連携した専門的知見との連携、アイヌ民族の方への調査を行った。また、アイヌ民族の物語を活用て、教科書単元の発展的な活動としてアイヌ民族の文学作品を読み、関連した創作活動を行った。地域の伝統的な言語文化に対する深い理解として多数のアイヌ民族の文学作品を読み、その舞台に赴くことによって、その文学作品の背景を知り、民族の文化に対する理解が深めた。 多文化共生社会を構想する力の育成として、アイヌ民族の方と交流するうちに、アイヌのすべてが共生を望んでいるわけではないという声を聞いた。苛烈な差別の歴史を経験し、未だ残るそれに苦しむため、共生した方がいいのはわかっているが心がそれを拒否する状態であるという。そのような人の気持ちを知るためにはアイヌ文化を深く知ることこそが入り口となるのである。 そして、研究成果の教育現場への波及させるために、研究成果発表を行いながら、教科書会社の方とのつながりを持ち、教材として所収する可能性について議論させていただく機会を得た。
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