2020 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校「理数探究基礎」を網羅するオリガミクスの新たなSTEAM教材の開発実践
Project/Area Number |
20H00791
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
葛城 元 京都教育大学, 附属高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 高等学校理数科 / オリガミクス / 数学的探究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2022年度から高等学校理数科に位置付く「理数探究基礎(1単位で年間35時間)」の教育内容の導入を目指したオリガミクス(折り紙の原理・仕組みを科学的に分析する方法)による新たなSTEAM教材を開発し、教育実践により有効性を検証した。 研究の成果について、教材開発では、折り紙研究の最新の動向から「昆虫の翅の折り畳み」を題材に選定し、STEAM教育内容の数学(M)と科学(S)のつながり(現実事象の分析・解明)を重視した。本教材では数学の発展と仮説検証的な活動が可能となるように、展開図の仮定を再設定し、解析幾何の手法による数学的な分析と新たな折り紙作品の制作の内容を取り入れた。そして、開発教材の有効性を検証するために、教育実践を高校3年生21名に実施した。第1回~第3回は「展開図の数学的分析」、第4回は「折り紙作品の制作」の計4回で実施した。授業で扱ったワークシートと意識調査の分析集計から次の結果が得られた。第一に、折り紙の作品制作といった実践を伴わせる体験的な学習活動が、学習者に現実事象と数学の関わりを認識させることができたこと。第二に、展開図の分析に数学知識(図形と方程式と三角関数)を総合的に活用して課題解決が図れたこと。また、数学の発展に関しては、具体値から一般化を扱う中で接近することができた。 研究の意義や重要性については、次のとおりである。第一に、数学を中心とする本教材は、検定教科書の作成の目途が立っていない高等学校「理数科(STEAM教育を含む)」の一つの教材として導入・活用が期待できること。第二に、学習者が折り紙による実験や制作活動等の中で、多様なアプローチを試みることができることからも、学習者の能動性を引き出すことが可能となり、価値を見出すための好奇心や創造性を伸長する点で寄与できること。
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Remarks |
特記事項なし
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