2020 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校を対象とした人権教育教材の開発-ハンセン病を題材とした教材冊子の作成-
Project/Area Number |
20H00816
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Research Institution | 愛知県立知立高等学校 |
Principal Investigator |
田中 見佳 愛知県立知立高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | ハンセン病 / 人権教育 / 高校生向けの教材冊子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新学習指導要領(平成30年告示)において「社会的な見方・考え方」として例示されている「効率と公正」の視点に基づき、高等学校における公民科の授業等で活用できるハンセン病をテーマとした人権教育のための教材冊子を作成することである。 2020年にハンセン病家族訴訟で熊本地裁は国に賠償を命ずる判決を下した。その判決要旨で、教育現場における人権啓発教育の不十分さが指摘された。中学校においてハンセン病について学習する際、厚生労働省作成教材「ハンセン病の向こう側」の活用が考えられる。しかし、高等学校向けの教材は作成されていない。また、筆者が居住する愛知県は全国に先駆けてハンセン病元患者を療養所に強制的に入所させる無らい県運動を展開した。しかし、その事実を知っている生徒は皆無といえる。そこで、ハンセン病元患者が高校生と同じ年齢であった時に経験した苦悩や葛藤に焦点をあて、愛知県の高校生がハンセン病元患者に対する人権侵害を自分事と捉えるための教材冊子を作成したいと考えた。 教材冊子作成のためにまず、新学習指導要領の社会編と公民編の解説及び中学校公民的分野の教科書から「効率と公正」の記述内容について整理を行った。次にハンセン病に関する文献調査及びハンセン病に関する授業実践の先行研究を整理し、文献調査では明らかにすることができなかった点について、国立ハンセン病療養所長島愛生園を訪問し現地取材を行った。以上のことから得られた知見を基に実践研究を行った。 研究成果は、次の2点である。1.実践研究から、ハンセン病元患者に対する人権侵害のみならず、社会における様々な偏見や差別について思考を深めるという人権感覚を育成することができた。2.現地取材や実践研究で得られた知見を基に高校生向けの人権教育教材の冊子を作成することができた。 次年度は、教材冊子の手引き書の作成及び教材冊子の改訂を目指す。
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Remarks |
筆者作成教材「瀬戸内の海風に思いをよせて」(全18頁)
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