2020 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害のある教員のインクルーシブ環境における就労の実態調査に基づいた対策の検討
Project/Area Number |
20H00835
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Research Institution | つくば市立竹園東小学校 |
Principal Investigator |
奥沢 忍 つくば市立竹園東小学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 聴覚障害 / 教員 / 就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,聴者と共に働く聴覚障害教員の職場環境について,どのような改善が必要であるか,就労の実態と課題,当事者の意見の検討を図り,当該者のインクルーシブ教育環境の改善に関する合理的配慮への基礎的資料を得ることを目的とする。 全国の聴覚特別支援学校及び通常校に勤務する聴覚障害教員を対象に, 職業生活と課題に関する質問紙調査を行い,内容妥当性,構成概念妥当性,内的整合性など信頼性を確認して,評価尺度(40項目)を作成した。本尺度の項目内容から,国際生活機能分類(ICF,WHO)における参加制約,対応行動,精神衛生の水準に対応すると解釈された。聴覚障害教員における参加制約は,聴覚情報の制約,他職員の障害理解,保護者や児童生徒との関係,障害による不安と懸念などの因子で規定されていることを指摘した。また,通常校に勤務したことのある聴覚障害教員への聞き取り調査においても,聴児の担当教員や中等度難聴を有する教員において,聞こえる児童等との関係形成に制約が生じ,不安・懸念が大きい傾向があることを裏付けた。課題の解決には,教育職の意義の自覚に基づいた対応行動形成の重要性を指摘した。さらに,当該者の職場環境の改善に向けて,関連機関にてロジャー等の補聴システムや音声変換アプリ等のコミュニケーションアプリ等を活用した実践についての提案及び情報交換を行った。以上の就労の実態と課題,当事者の意見の検討を通して,聴覚障害のある教員のインクルーシブ教育環境の改善に関する合理的配慮への基礎的資料を得ることができた。
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