2020 Fiscal Year Annual Research Report
創造工学テーマ「地元企業から出る副生物の利材化と地場産業への応用」の構築
Project/Area Number |
20H00858
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
中川 元斗 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 釉薬 / 副生物 / 利材化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鈴鹿高専で開講している創造工学において「地域企業から出る副生物の利材化と地場産業への応用」テーマを実施するにあたり、現在利用しているコーヒー製造プロセス副生物であるボイラー燃料集塵灰(以下、コーヒー灰)のみならず、三重県にあるさまざまな企業から排出される副生物を利用し、すべての成分が三重県下の企業から出る副生物由来の釉薬の作製を目指した。 釉薬(灰釉)には灰以外に長石、粘土が必要となるが、このうち粘土は素地との接着効果のために添加されているものなので、釉薬の性質にはあまり影響がない。そこで長石の代わりとなる成分を模索し、今回は四日市の万古焼と並んで三重県の伝統産業のひとつである、くわな鋳物を作る際に発生した鋳物スラグを長石の代替として使用した釉薬を作製した。 実験ではコーヒー灰、鋳物スラグ、長石、粘土を計10.5gとなるように配合比を変化させたものを複数作製し、それぞれテストピース上に施釉し、酸化および還元炉で本焼成し、作製した釉薬の性質を比較した。 その結果、鋳物スラグの割合が多いほど酸化鉄のような見た目となり表面に気泡が目立ち、コーヒー灰の割合が多いほど釉薬が流れやすくなり、表面に釉薬が流れた跡が見られた。またこれらの作製したテストピースについて学生の有志にアンケートを実施したところ、鋳物スラグ:コーヒー灰:長石=4:2:4および6:4:0の割合の釉薬が人気が高い結果となった。 本実験により、地元企業から出た副生物であるコーヒー灰と鋳物スラグを用いた釉薬の作製に成功し、さらにその釉薬の成分比が釉薬の性質に及ぼす影響を確認することができた。
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