2020 Fiscal Year Annual Research Report
学習者のノートテイキング情報からの思考特性抽出に関する研究
Project/Area Number |
20H00859
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉田 賢史 早稲田大学, 高等学院, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | ノートテイキング / 思考特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報を入手する際,我々は無意識に好みの情報表現を選択しているが,中等教育において学習者は,無意識に教員の示す板書を正しくコピーしようとする。授業におけるノートテイキングは,学習者がInputした視覚データや聴覚データを,生徒自身の思考特性とマッチした想起可能な視覚データとしてOutputすることが重要である。 生徒自身が想起可能な視覚データは,教員が生徒に学習方略を示す上で重要な要素の一つとなり得る。しかしながら,実際の授業の様子を観察すると,生徒自身が想起再現できる視覚データをノートとして残せていない可能性が高い生徒がいる。 本研究では,生徒自身が想起再現できる視覚データを残すことをノートテイキングと捉える。そこで,生徒自身にあったノートテイキングがおこなわれているか否かを判定するために,ノートの画像データから文字の検出をおこない,生徒自身の思考特性とマッチした想起可能な視覚データとの関連を検討した。 まず,分類可能かどうかを判断するために,思考特性における(言語的)-(感覚的)の軸において,言語傾向が強い生徒の特徴的なノート(Case A)と,感覚傾向が強い生徒の特徴的なノート(Case B)を選び出し,文字配置等の情報を調査した。その結果,検出された文字位置は,Case Aの場合,文字が密に配置されており,Case Bの場合は,文字位置が疎であった。この2つのケースでは,これらの文字位置と文字検出数の傾向は,(言語的)-(感覚的)の思考特性と関連付けることができると判断した。 このように,ノートには,生徒の思考特性情報が残されていると考えられる。今後,他のノートの文字情報を調査し,画像からHOG特徴量を抽出することで,文字の粗密の情報を客観的に取得でき分類精度を向上させることも可能であると考えられる。ただ,感覚的な生徒はノートを撮らない傾向があるため,指導の工夫が必要である。
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