2020 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツスキル保持手法を用いた溶接実習に有効な練習法の開発
Project/Area Number |
20H00871
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 翼 阿南工業高等専門学校, 技術部, 高等専門学校技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 溶接 / スキル保持 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的・背景】 アーク溶接では,溶接棒の運棒状況が溶接品質に大きく影響を及ぼすため,運棒スキルの獲得は最も重要な要素の一つである.時間割り形式で行われる溶接実習での問題点として「短い実習時間内に運棒感覚を掴まなければならない」,「一度掴んだ(掴みかけた)運棒感覚を次回の実習まで保持し続けなければならない」ことが挙げられる.運棒スキルの獲得における一連の流れは,スポーツスキルを獲得する際に経験する過程(認知段階,連合段階,自動段階)と共通点が多い.スポーツ科学分野では,多くのスキル保持手法が研究されているが,溶接分野では,運棒スキルの保持を主眼とした研究は行われていない.そこでスポーツスキル保持手法を応用した,溶接実習における運棒スキル保持に有効な練習手法の開発研究を行っている. 【研究成果】 (1)溶接中の直線性のブレ防止ガイドの製作 : ガイドに沿って溶接練習を行うことで直線性が得られる正しい溶接動作を体感させることを目的として,電気絶縁性が良く難燃性を有するバルカナイズドファイバーを主材とするブレ防止ガイドを設計,製作した. (2)ブレ防止ガイドの効果検証結果 : ブレ防止ガイドを溶接実習に導入し,アンケート調査を用いて効果を検証した.直線性のための動作理解度においては,指導者が学生の手に手を添えての練習には及ばず,自己練習と同程度の結果に留まった.しかし,直線性の習得が極端に低い学生に対しては大幅な改善が見られたことから,習得レベルに応じた利用方法を模索することでさらに効果が得られる可能性を示した.一方でブレ防止ガイド使用時には,①溶融池状態②アーク長③運棒速度④溶接棒角度⑤溶接音⑥進行方向などの溶接に重要な他因子を意識する余裕が生まれた結果が得られたことから,ブレ防止ガイドが運棒スキル習得の能率向上に寄与することが証明された.
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