2020 Fiscal Year Annual Research Report
見いだして理解する新しい授業方法の実践研究 -定義値としての定数を出発点として-
Project/Area Number |
20H00899
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Research Institution | 立教新座中学校・高等学校 |
Principal Investigator |
渡部 智博 立教新座中学校・高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | アボガドロ定数 / ファラデー定数 / 学習指導要領 |
Outline of Annual Research Achievements |
アボガドロ定数を定義値とした時の扱いから説明する。1 mol単体に加えて,任意の大きさの鉄,銅,銀などの密度を測定し,何が分かるかを考えさせる実験を体系的に行った。高校1年生の必修科目である「化学基礎」を履修する生徒(A),高校2年生の選択必修科目である「化学」を履修する生徒(B),そして高校3年生の選択科目である「化学」を履修する生徒(C)の各段階に分けて検討した。Aの生徒へは「原子1個を立方体と仮定した時,立方体の一辺の長さを求めることはできるだろうか。」と問いかけ,Bの生徒へは「金属結晶の基本的な最密構造がわかっている場合,単位格子の格子定数や原子1個の大きさを求めることができるだろうか。」と問いかけ,そしてCの生徒へは「ダイヤモンド構造であるケイ素の格子定数や原子1個の大きさを求めることができるだろうか。」と問いかけた。このように,A,B,Cの各グループの特徴を考慮し,難易度の異なる課題を与えた。どのグループにとっても難易度の高い課題であったが,それぞれの生徒らは,試行錯誤しながら単体を構成する原子の大きさなどを求めるに至った。 次に,アボガドロ定数と電気素量とを定義値とした時の扱い,すなわちこれらの積で表されるファラデー定数の扱いを説明する。「ファラデー定数から銅と銀の価数を求められるだろうか。」という課題を生徒に与え,導出方法や実験方法を考えさせる授業を検討した。銅板を電極として硫酸銅(II)水溶液を電気分解し,両極の質量変化から銅の価数を求める実験,銀板を電極として硝酸銀水溶液を電気分解し,両極の質量変化から銀の価数を求めることを考えさせた。高校3年生の選択科目「化学」で実施することができた。条件が整うと数%の範囲で価数を求めることができた。
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