2020 Fiscal Year Annual Research Report
3自由度パラレルメカニズムを用いた肩関節角度計測装置の開発
Project/Area Number |
20H00921
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 博一 金沢大学, 総合技術部(理工), 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | ワイヤパラレル機構 / リハビリテーション / 関節可動域測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,リハビリテーションの現場では高齢の患者が増え負担が増大している.そこで,療法士の作業をロボットに任せて負担を減らすことが求められている.申請者はリハビリにおいて重要な肩関節可動域の測定に着目し,療法士の介助無く肩関節可動域の状態を測定する手法を検討した.従来の方法は広いスペースを使い,複雑な機器を使う割には測定できる範囲に制限があった.本研究では計測装置をウエアラブル化して省スペースを実現し,パラレルワイヤ駆動機構を利用することで,軽量な装置で肩関節の可動範囲が計測できると考えた.身体に装着する装具は肩関節の動きを阻害せず,計測器の位置関係が変化しないように剛性を考慮し,装着性なども考えて設計した.その製作には3Dプリンターを用いた.機構の構成としては装着具側をベースとし,装着具の肩と胴体の表裏の位置に1箇所ずつに巻込型変位計を設置し,その変位計から3本のワイヤを伸ばして上腕部の任意の位置に装着する保持具の3箇所に接続し,保持具をワイヤパラレル機構の出力部とした. 出力部の動きはワイヤ長の変化に対して推定される肩関節の回転中心に直交座標系O-XYZを設定して上腕の装着部と中心から推定される肩関節の回転中心間が常に等距離と仮定し,それぞれの座標軸周りの肩関節の回転角度α,β,γを求める.同結果から運動学解析により肩関節角度を算出する.現状の関節角の測定はα,βについてしか確認できておらず,その結果も±5°程度の誤差が生じている.しかし,おおよその変化傾向は実際の運動に一致している.γについては計測値に問題があるが計測装置の改良によりそれに対処できると考えている.今のところは限定的な動作であるがおおよその肩関節周りの角度の測定ができることを確認した.今後は広い可動域にわたり肩関節の動作を精度高く,測定可能となるように改良を行うとともに様々な運動における測定を実際に実施する.
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