2020 Fiscal Year Annual Research Report
CRISPR/Casを用いた低温培養法によるノックイン動物の作製
Project/Area Number |
20H00983
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
場崎 恵太 秋田大学, 医学系研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | ゲノム編集 / ノックイン / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR/Casの開発により、ノックアウト(KO)動物を容易に作出できる一方で、相同組み換え修復(HR)によりドナーDNAをゲノム上に導入するノックイン(KI)に関しては、その作出効率は極端に低い。HRは細胞周期のG2期で起こるが、G2期の長い2細胞期胚にDNAコンストラクトを導入することでKI効率が向上すると報告されている。しかし、2細胞期胚の操作には、高度な技術を要するとともにモザイク体が形成されやすい等の課題がある。そこで、本研究ではDNAコンストラクトを注入した胚について、低温培養にて発生遅延を誘起することで、HRの起こるG2期を延長してKI効率の向上を試みた。
ROSA26遺伝子を標的としたガイドRNAとCas9蛋白、ドナーDNAとしてホモロジーアーム(約1.5kbp)とH2B - EGFP(約1.7kbp)を含むプラスミドベクターを準備した。これらDNAコンストラクトをC57BL/6J由来の前核期胚に顕微注入して通常よりも低温で12時間以上培養した。その後、37℃で培養して発生した桑実胚を蛍光顕微鏡で観察してEGFP発現を確認した。
従来の37℃で培養した場合に比べて、低温培養した胚では、その生存率と発生率で大きな差異は認められなかった一方で、EGFPを発現する胚の割合が多かった。このことから、低温培養によりHRの起こる機会が十分に確保されたことで、効率的にドナーDNAが導入されたと示唆された。本法は、特別な試薬を必要とせず、操作も簡易であり、ゲノム編集技術の新たな手法として有用であると考えられる。
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