2020 Fiscal Year Annual Research Report
親水性相互作用クロマトグラフィー質量分析法による生体中イノシトールピロリン酸解析
Project/Area Number |
20H01002
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 誠敏 東海大学, 伊勢原研究推進部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | イノシトールピロリン酸 / 質量分析 / 親水性相互作用クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が開発したイノシトールピロリン酸検出法(Ito et al., J Chromatogr A, 2018 : 1573, 87-97)について、イノシトール7リン酸(InsP7)だけでなくイノシトール8リン酸(InsP8)の検出を可能にした改良法を構築し、実際に生体中の内在性InsP7やInsP8を検出できることをヒト大腸がん細胞株HCT116細胞を使って確認した。哺乳類の臓器中イノシトールピロリン酸の分布を調べるために、C57BL/6Jclマウス(~20週齢、オス)から中枢神経系をはじめ心臓、肺、肝臓や腎臓を含む様々な臓器を採材した。採材した臓器は、破砕後に過塩素酸水溶液を添加することでタンパク質を除去し、上清に含まれるイノシトールリン酸をチタンビーズに吸着させ、アンモニア溶液で溶出することでイノシトールリン酸の精製を行った。イノシトールピロリン酸の前駆体であるイノシトール6リン酸(InsP6)は、調べた全ての臓器において豊富に存在していた。一方、InsP7はInsP6と比較すると極微量であったが、中枢神経系で比較的多く存在しており、InsP7合成酵素遺伝子が中枢神経系で高発現しているというこれまでの報告と一致した。InsP8はほぼ全ての臓器で検出されなかった。また、Sprague-DawleyラットにおいてもC57BL/6Jclマウスと同様のInsP6及びInsP7分布を示し、他の組織と比べて中枢神経系でInsP7が比較的蓄積していることが明らかとなった。 現在、マウスの週齢や性別によるイノシトールピロリン酸分布の違いの有無について、また、イノシトールピロリン酸合成酵素遺伝子改変マウスを用いた検討を進めている。ヒト末梢血細胞を使った検討では、健常者と患者群での比較が良好に進んでいる。上記の一連の成果について論文化の準備を進めている。
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