2020 Fiscal Year Annual Research Report
錠剤の一包化調剤時に起こる配合変化の原因物質特定とそのメカニズム解明
Project/Area Number |
20H01017
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岩山 訓典 旭川医科大学, 大学病院, 主任薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 一包化調剤 / 腸溶性製剤 / 配合変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】 通常一包化された錠剤同士が結合(配合変化)することはないが、アスピリン腸溶錠(BA)とテルミサルタン錠40 mg(Mic 40)が分包内で配合変化している事例を発見した。この2剤の配合変化により、①Mic 40と一包化したBAでは成分含量や溶出率が低下、②配合変化には、高湿度条件下でBAの腸溶性コーティング剤(メタクリル酸コポリマーLD)とMic 40の添加物(塩基性物質)が関与することを明らかにした。しかし、Mic 40側の原因物質は現時点で不明である。本研究では、Mic 40側の原因物質を特定し、一包化に不適な組み合わせ(腸溶性コーティング剤とMic 40の塩基性添加物)をリスト化することで臨床に還元することを目的に実施した。 【方法・結果】 配合変化に影響を及ぼすMic 40の添加物を特定特定するためにMic 40に含有する各添加物で塩基性を示す可能性がある物質としてエリスリトール、メグルミンのpHを測定した。メグルミンのpHは、約11.6とエリスリトールよりも強い塩基性を示した。また、吸湿性を示すのは、メグルミンのみであった。次に一包化不適の薬剤リストを作成するためにメグルミンを含む医療用医薬品7種類とメタクリル酸コポリマーLDを添加物に含む医薬品4種類を使用し、一包化した際の配合変化の有無を検討し、いくつかの医薬品の組み合わせで配合変化を示した。 【考察】 配合変化には、湿度が関与していることから塩基性の原因物質はメグルミンであることが示唆された。したがって、高湿度条件下で製剤からメグルミンを含む塩基性溶液が発生し、腸溶性コーティング剤のメタクリル酸コポリマーLDと配合変化を生じたと考えられる。これらの医薬品を一包化する際は、乾燥剤と保管するなどの湿度対策が必要である。
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