2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多田 康平 京都大学, 工学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 熱交換器 / ペルチェ素子 / ゼーベック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
液化ヘリウムや液化窒素が蒸発した極低温のガスを加温するための熱交換器は、大学等の研究機関でよく用いられている。通常の熱交換器は金属配管で製作され、内側を流れる低温ガスに配管の壁面を通じて外気の熱を与えて加温する仕組みである。しかし、極低温の蒸発ガスが多量に流れる場合には、熱交換器自体の温度が低下して凍りつくために、熱交換の効率が低下する。熱交換器を電熱線等で加熱すれば熱交換の効率を上げられると考えられるが、人が電源を入切するなど手間が増えれば使いやすい加熱システムとは言えず、また、外部電源が必要なシステムであれば屋外など電源が取れない場所に設置された熱交換器には利用できない問題がある。 上記の問題を解決するために、低温ガスが流れるときには自動的に加熱し、加熱の必要がなくなれば自動的に加熱を止めるような、外部電源を使用しない、熱交換器加熱システムを開発することを最終目標とした。この目標を達成するため、ペルチェ素子を用い、低温流体と外気温との温度差からゼーベック効果により起電力を得て、配管凍結防止用マイクロヒータで金属配管を加温する計画とした。熱交換器を構成する金属配管のモデルとして、ステンレス容器に液化窒素を溜め、容器外表面にペルチェ素子を貼り付け、ゼーベック効果により発生する起電力を測定した。ペルチェ素子1個のみではヒータを稼働させるのに十分な起電力を得ることはできなかった。しかし、複数のペルチェ素子を直列に接続すると個数におおよそ比例して起電力を増加できることを確認できた。本研究では最終目標には至らなかったが、上記の実験を通じて、ペルチェ素子を用いる今回の方法で目標とする加温システムを構築できる可能性を確認することができた。
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