2021 Fiscal Year Annual Research Report
ブリティッシュ・ワールドの共通意識と紐帯に関する総合的歴史研究
Project/Area Number |
20H01303
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
竹内 真人 日本大学, 商学部, 教授 (20520729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝田 俊輔 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00313180)
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 教授 (90724196)
馬路 智仁 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779257)
松永 友有 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50334082)
福士 純 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60600947)
小川 浩之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60362555)
渡辺 昭一 東北学院大学, 文学部, 教授 (70182920)
横井 勝彦 明治大学, 商学部, 専任教授 (10201849)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | イギリス帝国史 / コモンウェルス / 勢力圏 / 紐帯 / 共通意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスが自治植民地や属領でブリティッシュネスという共通意識をいかに創出し、自国の勢力圏としてのブリティッシュ・ワールドを形成してきたのかを、①血縁・言語・宗教の共通性に基づく感情的紐帯、②貿易・金融・生産構造に関連する経済的紐帯、③武器移転や軍事援助による軍事的紐帯の関係に注目しながら総合的に解明することを目的としている。その目的を達成するために、令和3年度は、主として以下3つの課題を追究した。第1課題は、感情的紐帯の分析であり、竹内はニュージーランドにおけるイギリス宣教活動に関する二次文献および既公刊一次史料を、勝田はアイルランドとのユニオニズムに関する電子データベース史料を、石橋はイギリス植民地天文台の科学者たちによる時間制度の構築に関する史料を分析し、馬路はブリティッシュ・コモンウェルス構想が同時代の日本に与えた影響を考察した。第2課題は、経済的紐帯の分析であり、松永はジョゼフ・チェンバレンの関税改革運動を、福士はカナダにおける1911年米加互恵協定に関する論争を分析した。第3課題は、軍事的紐帯の分析であり、小川はイギリスと南アフリカを中心とした軍事的紐帯に関するオンライン史料を、渡辺は1962年10月に勃発した中印紛争をめぐる英米の対インド軍事援助の過程を、横井は国際武器移転史研究の観点から英独建艦競争、航空機生産拠点の世界的拡散、米ソの戦略的武器移転の過程を分析した。海外研究協力者のアパラジス・ラムナスは、オンライン(ZOOM)で竹内と数度の打ち合わせを行い、Sir M. Visvesvarayaに関する英語論文を完成させた。また、松永、福士、勝田は、海外研究協力者のアンドリュー・ディリー、レイチェル・ブライト、フェリシティ・バーンズが令和2年度に『国際武器移転史』に発表した英語論文を日本語に翻訳する作業を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症によって、当初予定していた海外の公文書館や図書館での未公刊一次史料の調査が不可能となり、研究が、既公刊の二次文献やマイクロフィルムやデータベース、その他オンラインで入手可能な史料の調査に限定されたため、研究課題の進捗状況に依然として遅れが生じている。また、共同研究の打ち合わせ会議もオンライン(ZOOM)で行わざるをえず、回数や時間が限定される結果になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外渡航はいまだに難しいとはいえ、令和4年度は国内外の様々な規制が緩和される傾向にあるため、可能なタイミングを見計らって海外での未公刊一次史料の調査を開始したい。また、二次文献、マイクロフィルム、データベース、オンラインで入手可能な一次史料の調査も継続し、研究課題の遅れを取り戻す予定である。
|
Remarks |
アパラジス・ラムナスが"'Dominion Status' and the Evolution of 'Imperial Citizenship' in Interwar India"という標題のSir M. Visvesvarayaに関する英語論文を執筆した。竹内、渡辺、横井が社会経済史学会編『社会経済史学事典』(丸善出版、2021年)の編集・分担執筆を行った。
|
Research Products
(25 results)