2021 Fiscal Year Annual Research Report
酸素アニオン制御による新規電極反応を用いた高エネルギー密度正極材料の創造
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20H02846
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大石 昌嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (30593587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾原 幸治 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (00625486)
山本 健太郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定准教授 (90755456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 正極酸化物材料 / リチウム過剰系正極 / 結晶PDF解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代リチウムイオン二次電池の高容量正極材料として、リチウム過剰系層状酸化物材料(Li2MnO3-LiMeO2, Me=Ni, Co, Mn)が注目されている。リチウム過剰系正極材料は、初期充電過程の結晶再配列により新規構造体が発現することで多量のLiイオンが可逆的に脱離挿入し高容量を示すと我々は考えている。本年度は、0.3Li2MnO3-0.7LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2電極の評価を行った。作製した試料を活物質とした合剤電極を用いたセルはリチウム過剰系正極材料特有の挙動である初期充電時に電位平坦部を示し、その後の放電以降は可逆的な充放電サイクルを示した。1サイクルと20サイクルの放電容量が250 mAh g-1を超えており高容量正極特性を示した。充放電後のセルをグローブボックス内にて分解し、電極試料をキャピラリーに封入して、大気非暴露の状態で電極試料の全散乱測定を行った。Pair distribution function (PDF)解析により、充電・放電状態に関わらず短距離秩序は変化せず、金属層内に頑丈なMeO6八面体が存在することが示唆された。一方で初期充電過程の不可逆過程においてカチオンミキシングなどの局所的な構造乱れが導入されることも明らかになった。さらに、PDFデータの構造解析のための構造解析ソフトを独自に開発した。PDFデータの構造解析より、遷移金属層から移動したLi層内の金属カチオンがピラーとして存在するが高容量の発現に重要な役割を果たすことが明らかなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はリチウム過剰系層状酸化物材料の基幹ドメインであるLi2MnO3の評価を行い、初期放電過程での結晶再配列により得られる新規構造体が乱れたスピネル構造を示すことがPDF解析より明らかになった。本年度は、実用的に用いられるリチウム過剰系層状酸化物材料0.3Li2MnO3-0.7LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2電極のPDF解析を実施し、この材料系の高容量を示すカチオンミクシングの効果を確認した。当初の計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶-非晶質混在試料から抽出した非晶質のPDFデータを本年度開発した構造解析ソフトを用いることで、構造乱れの詳細を明らかにする。非晶質相の構造詳細、および固体界面に生じる歪みについて考察する。基幹材料Li2MnO3とLiMeO2の混合比に応じた構造歪み変化を解析することで、多量のLiイオン脱離挿入時の電荷補償に寄与している酸素アニオンの酸化還元反応との相関について考察し、可逆過程な酸素アニオンの酸化還元を達成できる新規電極材料の設計指針を得る。
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Research Products
(3 results)