2020 Fiscal Year Annual Research Report
Tactile and auditory augmentations based on the mechanism of perceptions acquired by visually impaired people
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20H04561
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (70002102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
大河内 直之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (30361679)
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 質感 / 触覚 / 聴覚 / 視覚障害 / 感覚代行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、視覚障害者によって知覚される触覚と聴覚の質感について調べ、晴眼者との相違点を明らかにし、新しい感覚代行・拡張手法を提案することにある。そのため、視覚障害者の(1)聴覚による空間と音声の質感知覚、(2) 触覚によるテクスチャの質感知覚、(3) 触覚と聴覚への同時提示によるマルチモーダル知覚、の3項目について調査・検討を行った。 上記3項目につき、(A)視覚障害者への質感知覚に関する聞き取り/アンケート調査、(B)触覚・聴覚への同時提示のための実験システムの設計・開発、(C) システムを用いた質感知覚の実験的評価、という3段階を経て、視覚障害者への質感提示・感覚拡張指針を提言する予定であり、当年度(2020年度)は、その初年度にあたる。感染症流行の影響により、2021年12月まで延長した。 当期間内では、おもに視覚障害者を対象としたアンケート調査と、指先へ触覚提示する実験システム(Tactule-64)の設計・開発を行った。 アンケート調査では、「日常生活における情報取得、移動における音と触感利用に関するアンケート」として日常で手がかりにしている質感をオノマトペ等で回答を得た。予想よりも多様な結果となり、今後はオノマトペの音素の種類などに基づいて分類し、手がかりとしている質感を具体的に分析していく予定である。 触覚提示実験システム(Tactule-64)は、約10mmの正方形状に8行8列の振動ピンが配置されたデバイスである。先行研究の試作機と比べて、ピン配置を高密度にしたことと、振動のパターン変更のレートを上げて滑らかな変化を提示できるようになった。また、振動デバイスの背面に開けた窓からレーザを当てて、その反射から振動ピンの変位を測定できるようにした。今後は本デバイスを用いて、どのような振動パターンでどのような質感を得られるかを調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症による影響により、聞き取り調査を中止し、アンケート調査のみに切り替えた。また、触覚質感提示システムに必要な電子部品などの調達が困難になり、その設計・開発に大きな遅れが生じた。しかし、アンケート調査では一定数の回答が得られ、また、触覚提示実験システム(Tactule-64)を試作することが出来たことから、次の分析・調査に向けて一定の成果が得られたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度の成果を踏まえて、次の計画を進めていく。 1.視覚障害者の質感知覚に関しては、当年度に行われたアンケートの分析を引き続き進めていき、得られた調査結果を既存研究と比較しながら空間・音声の質感知覚仮説を整理する。なお、主に全盲者に対しては、聴覚的に感じられる空間印象に対する評価実験を行う。 2.触覚によるテクスチャの質感知覚については、紙質ごとの点字の印象について調査し過去研究と比較しながら視覚障害者が知覚する触覚の質感についての仮説を整理する。同時に、視覚障害者の触覚に適切なテクスチャを提示できるように、触覚ディスプレイによる提示実験を繰り返して、必要に応じて設計・改良を行う。 3.触覚・聴覚のマルチモーダル知覚に関しては、触覚と聴覚が同時に刺激された場合の双方の影響による質感の変化を調べる。また、スクリーンリーダと点字ディスプレイを併用して音声と点字で文章を読んだ際の触覚的・聴覚的な印象について調査を行う。この際、点字と音声の情報が異なる場合にどのような混乱が発生するかを調査する。さらに、視覚経験の有無によるクロスモーダルな錯覚の発生の違いにも着目して、過去研究と比較しながら質感知覚の仮説を整理する。 以上の結果から、視覚障害者のために質感を提示できる感覚代行・拡張方式を提案する。
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Research Products
(6 results)