2022 Fiscal Year Annual Research Report
Diplomacy and Negotiation of a Provincial City in the Early Modern Venetian Republic: the Case of the Early Seventeenth Century Brescia
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20J00262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 雄紀 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | イタリア / ヴェネツィア / 近世史 / 西洋史 / 政治史 / 中央・地方間交渉 / ロビー活動 / 地方自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヴェネツィア共和国の地方都市が中央・地方間で、および国内外にまたがって行う多方向的な交渉活動を、17世紀前半ブレシアの事例から考察することを目的とする。本年度は、これまでの2年間で実施することが困難であった現地史料調査の実施に重点を置いて研究を進めた。 その結果、8-9月の史料調査において、本研究を構成する研究課題の1つである「ブレシア都市参事会の在ヴェネツィア常任大使の交渉活動」という課題に関して極めて重要な成果を得ることができた。すなわち、ブレシア市立歴史文書館での史料調査により、すでに確認・入手していた常任大使ガレアッツォ・バルビジョーネの1631-1635年の書簡記録簿に加えて、新たに1624年から1640年にかけての彼の書簡記録簿および書簡原本を発見し、入手することができたのである。この調査結果から、バルビジョーネは少なくとも約16年もの長い期間にわたってヴェネツィア中央政府の重要機関に出入りして交渉活動を行っていたことが判明した。このことは、ヴェネツィア貴族が短い任期で官職を交代していくという中央政府の特徴を踏まえると、彼がヴェネツィア貴族以上に中央政府の審議過程や重要な審議事項について熟知していた可能性を示唆している。また、想定よりも長いことが判明した彼の任期中には戦争や伝染病の流行といった重大な事態が発生しており、彼の交渉活動の分析は共和国の歴史上でも極めて重要な時期の中央・地方間交渉および中央政府の意思決定の様相を解明する鍵になるだろう。 他方、「ブレシア統治官の多方向的交渉活動」という課題に関して、8-9月の現地史料調査において実施することができなかった分の調査を2-3月に行う予定であったが、現職の着任手続きの都合により直前で渡航を中止せざるを得なかった。この点については、今後の研究活動の中で改めて史料調査を実施する機会を設けることとしたい。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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