2021 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム法の日常規範化とハラール食品産業の国際展開:東南アジアと湾岸地域の競合
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20J00457
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桐原 翠 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ハラール / 現代イスラーム世界 / ハラール食品産業 / マレーシア / 湾岸地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マレーシアを起点に形成され進展してきたハラール食品産業が、グローバルな展開を遂げることにより生じた東南アジアと湾岸地域の地域間競合について着目している。地域間の競合に着目し、各地域のハラール産業に関する規則などを分析することで、現代イスラーム世界におけるイスラーム法学の地域間の動態を明らかにすることが本研究の目的である。 2021年度の研究成果(本年度の研究費は、感染症の影響で繰り越しを行った)は、以下3点にまとめることができる。①理論の分析:イスラーム認証規格について、イスラームの方の視点から分析し、食事規定と多文化共生についての研究動向をまとめ日本中東学会にて口頭発表を行った。②研究会への参加:上述の通り、日本中東学会にオンライン参加した。さらに、立命館アジア太平洋大学においてイスラーム法とハラール産業の相関性について、研究発表(英語)を行った。また、日本においてマレーシアから研究者を招聘し、ハラール産業に関する研究会の実施を考え、マレーシアの研究者との研究会の打ち合わせをオンラインにて行った。この2021年度に実施予定だった研究会は、2022年にマレーシアから研究者を招聘し、開催することができた。さらに、本年度予定していたフィールド調査については、研究費の繰り越しを行い、2023年3月にフィールド調査を実施した。③研究発信:昨年度から執筆していたハラール産業に関する学術書を無事に刊行することができた。 その他の研究実績としては、大学においてゲストスピーカーにて授業を実施したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度においても、感染症の影響で、海外調査を実施することができなかったが、オンラインでの研究会やこれまで収集してきた文献の分析、特にイスラーム法学派の分析に時間をかけることができた。さらに、学術書を刊行することができ、これまで見過ごされてきたハラール食品産業の構造について、新たな視点を明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、オンライン上での研究会、ワークショップ、国際シンポジウムに参加することで、ハラール食品産業やイスラーム法に関する研究について、研究の方向性を明確にすることができた。加えて、ハラール食品に関連する学術書を刊行できたことで様々なフィードバックをいただくことができ、より理解が深まった。 来年度(2022年4月~)は、引き続きハラール食品に関するフィールド調査及び資料収集を行う。さらに、日本中東学会において研究成果報告を行う。また、感染症が収束に向かっているため、2023年3月までにはフィールド調査を実施したいと考える。
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