2020 Fiscal Year Research-status Report
教師の情動的経験の表出およびその変容に着目した英語授業研究
Project/Area Number |
20K00743
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉田 達弘 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (10240293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕之 関西大学, 外国語学部, 教授 (80247759)
岩坂 泰子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80636449)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 英語教育学 / 教師教育 / 社会文化的理論 / 情動的体験 / 授業研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,英語教師自身が自己の内面で発生した情動に着目し,その情動を契機として児童生徒とのやりとりにおいてどのような即興的思考をしたのかを検討する場として,授業研究を再構築することを目指すものである。初年度は,① 英語教育における授業における教師の情動と即興的思考に関する先行研究,および,英語授業研究に関する先行研究からこれまでに明らかになっていることをレビューすること。また,国内外の学会にて授業研究,教師の情動研究に関する最新の動向を調査すること,さらに,②研究協力校として小中高から3校程度に依頼し,英語授業研究モデルを開発することを目指した。 しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大により,参加予定の学会が中止になるなどして,①の国内外の学会での調査研究が実施できなかった。同様の理由で,②の研究協力校への調査研究依頼を行えず,現場での研究体制を構築することができなかった。このため,研究に遅れが出ており,初年度は,特に海外における先行研究のレビューを行った。 海外の言語教育研究では,「社会的転回(social turn)」以降,言語発達における認知面と情動面を一体的にとらえる理論的および実証的研究が進んでいる。情動のとらえ方については,依拠する研究基盤により,見方は異なるものの,同様のトレンドは,2010年以降の言語教師教育研究にも色濃く反映されている。特に,社会文化的理論に基づく言語教師研究を推進するKaren E. JohnsonとPalula R. Golombekの一連の研究(例, Johnson & Golombek, 2017)は,この領域における研究の方向性を示し,教師の成長と情動体験(perezhivanie)という概念の重要性を示した。初年度中に,一連の論文レビューを活字にすることはできていないが,本研究で採用するべき枠組みと具体的な方法論が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大や,それに伴う緊急事態宣言の発出により,研究組織のメンバーの勤務環境が大きく変わり,感染症対策,リモート授業への対応など,校務にかける時間及び労力が増大した。このため,本研究へのエフォートを下げざるを得なかった。また,同様の理由から,初年度に予定していた研究協力校への調査研究依頼を行うことが難しく,学校教育現場での研究を進めることができなかった。このため,研究の進捗に遅れが出た。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間2年目も新型コロナウイルス感染症の拡大防止にともなう行動制限の影響を受けるが,研究の遅れを可能な限り取り戻すために,次のような方策を実施する。(1)初年度に着手できなかった「教師の情動の表出に着目した英語授業研究モデル」の開発を行うために,学校教育現場に研究依頼を行い,研究を実施する。(2)学校教育現場を直接訪問して調査研究を行うだけでなく,オンラインでの授業研究システム(Video Enhanced Observation, VEO)を活用した授業研究を行い,研究組織に負担をかけすぎない方法で,授業研究を行う。(3)研究の遅れから,当初予定していた学会ではなく,別の英語教育関係の学会及び研究会にて発表を行い,論文としてのとりまとめを行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により,参加予定の学会が中止になるなどして,国内外の学会に参加できなかったため,旅費として計上していた予算が執行できなかった。また,同様に,新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で,研究協力校への調査研究依頼を行えず,現場での研究体制を構築するのに必要な経費が執行できなかった。
|