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2022 Fiscal Year Research-status Report

日本近海における外国漁船の操業と日本漁船に及ぼす影響の実態分析

Research Project

Project/Area Number 20K06249
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

佐々木 貴文  北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (00518954)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords日本海 / 太平洋 / 中型イカ釣り漁業 / 大中型まき網漁業 / 日本漁船 / 外国漁船 / スルメイカ / マイワシ
Outline of Annual Research Achievements

本報告年度は、前年度に引き続いて新型コロナ感染拡大問題の影響を受けたものの、一部調査依頼先からは現地調査の受け入れに前向きな対応をいただくことができたため、徐々に調査を再開していくことが可能となった。
このため、日本海における日本漁船の操業実態に関しては、石川県の小木地区を根拠とする中型イカ釣り漁船団へのヒアリング調査を実施することができた。その結果、スルメイカの漁獲不良が継続していることを背景に、当該地域を根拠とする船団では減船事業の利用がみられ、船団の縮小が確認できた。それにともなった魚群探査能力の低下(探査範囲の縮小)や船団維持に必要な補修・補給能力が地域から失われつつあることなども明らかとなった。また大和堆周辺海域では、不審な外国船の接近などの報告事例があり、不安定な操業環境が継続していることも示された。
また、北海道沖(太平洋側)における日本漁船の操業実態に関しては、釧路港や広尾港を水揚げ拠点としている大中型まき網漁船団へのヒアリング調査を実施した。その結果、マイワシ資源の高位安定傾向が続く中で、当該地域・海域では活発な操業が続いていることが明らかとなった。ただ直近では、ロシアによるウクライナ侵攻があり、漁業者の中には「日ソ地先沖合漁業協定」に基づく相互入漁への不安を口にする者もいた。
なお、当該大中型まき網漁業に関しては、漁獲されたマイワシの加工・流通状況についても現地調査を実施し、世界的なインフレ傾向を受けた魚油・魚粉(ミール)価格の上昇を後景に加工業者の生産意欲が高く、地域経済に好影響を与えていることも確認できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本報告年度は、前年度に引き続いて新型コロナ感染拡大問題の影響を受けたものの、現地調査を受け入れていただけたことで、当初予定していたヒアリング調査を実施することができ、研究の進展がみられた。
また、こうした現地調査の結果などを社会に還元するため、様々な媒体で成果を公表することに努めた。例えば、時事通信社のJIJI.COMで「【特集】不透明感増す日本水産業の行方 ロシア経済制裁で海の勢力図に変更あるか」を公開したし、農林中金総合研究所『調査と情報』には「不安定化する「国境」、漁場確保に苦心する「日本漁船」」を寄稿した。時事通信社『金融財政ビジネス』には「尖閣諸島「国有化」から10年-日本漁業の「公共性」を再確認する」を寄稿している。
さらに、中国の軍事演習が日本の排他的経済水域に関係する水域で実施されたことを受け、新潮社Foresightで「台湾近海「中国軍事演習」から見えてくる「日本漁業」の窮状」を公開している。
これら以外にも、一般社団法人日本協同組合連携機構『協同組合研究誌にじ』に「海の平和と漁業協同組合-ウクライナ侵攻で見つめ直す「日台民間漁業取決め」の紛争予防機能」と題する論文を発表した。

Strategy for Future Research Activity

最終年度を迎えることから、これまでの調査・データの整理を行い、そのうえで調査・データの不足分を明らかにする。また、その不足状態を解消するために、生産現場への追加調査が可能となるよう現地と調整を行う予定としている。
例えば、九州・沖縄地方の漁業者による東シナ海での操業実態に関しては、新型コロナ感染拡大問題のため、直近の動向を把握できておらず、こうした部分の調査を実施したいと考えている。
また最終年度であることから、学会誌への投稿・採択を目指して論文を執筆して、可能な限り早急に採択されるように努める。

Causes of Carryover

一部旅費が想定を下回ったため、次年度使用額が生じた。使用計画としては東シナ海における日本漁船の操業実態調査にかかわる旅費としての使用を計画している。調査地としては、沖縄県那覇市ならびに石垣市を予定している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Journal Article (4 results)

  • [Journal Article] 海の平和と漁業協同組合 : ウクライナ侵攻で見つめ直す「日台民間漁業取決め」の紛争予防機能2022

    • Author(s)
      佐々木貴文
    • Journal Title

      一般社団法人日本協同組合連携機構『協同組合研究誌にじ』

      Volume: 681 Pages: 40-47

  • [Journal Article] 不安定化する「国境」、漁場確保に苦心する「日本漁船」2022

    • Author(s)
      佐々木貴文
    • Journal Title

      農林中金総合研究所『調査と情報』

      Volume: 93 Pages: 20-21

  • [Journal Article] 尖閣諸島「国有化」から10年-日本漁業の「公共性」を再確認する2022

    • Author(s)
      佐々木貴文
    • Journal Title

      時事通信社『金融財政ビジネス』

      Volume: 11110 Pages: 14-18

  • [Journal Article] 圧倒する中露、日本漁業は復活できるか2022

    • Author(s)
      佐々木貴文
    • Journal Title

      PHP研究所『Voice』

      Volume: 2022年7月号 Pages: 128-135

URL: 

Published: 2023-12-25  

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