2020 Fiscal Year Research-status Report
ジンジパインを分子標的としたダウン症候群の退行現象に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K10204
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 弘 徳島大学, 病院, 講師 (70192218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 勉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90346916)
上田 公子 (山口公子) 徳島大学, 病院, 助教 (40335807)
北村 尚正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50614020)
二宮 雅美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10291494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 退行現象 / ジンジパイン / 歯周病 / ジンジバリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のダウン症候群の退行現象と歯周病菌の産生するジンジパインの関連を解明し、ジンジパインの阻害剤を投与することにより、退行現象の発生を抑制することができるかを調査する目的で行うものである。アルツハイマーとジンジパインの関係を調査する目的でTissue Microarray法、ジンジパインの阻害物質を調査する前段階としてジンジパインの酵素活性確認、ダウン症候群の口腔内の歯周病菌の種類を調査するために唾液中の歯周病菌のPCR検査をおこなった。 実験1(Tissue Microarray法);BioChain社より、入手した正常脳組織及びアルツハイマー脳組織のTMAスライドを使用した。正常及びアルツハイマーのTMAスライドに対し、gingipain R2のIHC法による染色を抗体(希釈率;1/100、1/400、1/1600)を実施した。抗原賦活処理はクエン酸緩衝液または抗原賦活化液とし、陰性コントロールとして抗体希釈液を用いた染色を同時に行った。その結果、正常脳組織およびアルツハイマー脳組織ともにすべての条件で陽性の染色は認められなかった。 実験2(ジンジパインの酵素活性確認実験);購入したジンジパインの酵素活性をプロテアーゼ測定キットを用いて測定した。その結果、購入したジンジパインには酵素活性がないことが判明した。 実験3(ダウン症候群患者の唾液中の歯周病菌のPCR検査);ダウン症候群患者の唾液を採取し、唾液中の歯周病菌の数をPCR検査を用いて測定した。その結果、T.forsythensisの数が他の歯周病菌に比較して多いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
取り寄せたジンジパインの酵素活性を測定したところ、酵素活性がないことが判明し、次の段階の実験を行うことができなかったため。 現在、別のジンジパインを入手し、酵素活性の確認を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1(ジンジパインの酵素活性確認実験);入手した新しいジンジパインの酵素活性をプロテアーゼ測定キットを用いて測定し、酵素活性を確認する。 実験2(ジンジパインの酵素活性阻害実験);実験1で酵素活性を確認したジンジパインを用いて、果実や植物のエキス(すだち、ゆず、生姜、山椒、櫻)がジンジパインの酵素活性を阻害するかどうかを検討する。 実験3(ダウン症候群患者の唾液中の歯周病菌の検査);ダウン症候群患者の唾液を採取し、唾液中の歯周病菌の数をPCR検査を用いて測定し、患者の口腔内の状態との関連を調べる。
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Causes of Carryover |
ジンジパインの酵素活性がないことが判明したため、阻害物質の調査実験を行うことができなかった。その実験で使用する予定であった試薬と実験器具を購入しなかったためと新型コロナの流行により学会がWeb開催になったため、交通費が不要になり次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて、次年度、学会が通常開催になった際に使用する予定である。
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