2021 Fiscal Year Research-status Report
ジンジパインを分子標的としたダウン症候群の退行現象に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K10204
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 弘 徳島大学, 病院, 講師 (70192218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 勉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90346916)
上田 公子 (山口公子) 徳島大学, 病院, 助教 (40335807)
北村 尚正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50614020)
二宮 雅美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10291494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 退行現象 / ジンジパイン / 歯周病 / ジンジバリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のダウン症候群の退行現象と歯周病菌の産生するジンジパインの関連を解明し、ジンジパインの阻害剤を投与することにより、退行現象の発生を抑制することができるかを調査する目的で行うものである。ジンジパインの阻害物質を調査する前段階としてジンジパインの培養上清液の回収、ダウン症候群の口腔内の歯周病菌の種類を調査するために唾液中の歯周病菌のPCR検査をおこなった。 実験1:Porphyromonas gingivalis(P. g.菌)を培養し、培養上清を調製する。起菌した菌を5 mg/Lヘミン、1 mg/Lメナジオン添加トッドヘヴィットブロス(以下「THBHM培地」と略記)に植え、37 ℃、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気条件で、48時間程度静置培養しいた(前培養)。THBHM培地800 mLを入れた1 L容メディウム瓶3本に、培地の1.25~4 %程度の前培養液をシードとして植え、37 ℃、嫌気条件で48~96時間程度静置培養した(本培養)。培養液を遠心して培養上清を回収する。 実験2(ダウン症候群患者の唾液中の歯周病菌のPCR検査);症例1では、ダウン症候群患者の唾液を採取し、唾液中の歯周病菌の数をPCR検査を用いて測定した。その結果、6種類の歯周病菌では、P.g.菌、P.i.菌(Prevotella intermedia)、の2種類が多いという結果になった。症例2では、P.g.菌、T.f.菌(Tannerella forsythensis)、T.d.菌(Treponema denticola)の3種類が多いという結果になった。歯周病の重症度が高い症例2の方が歯周病菌の検出率が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、Porphyromonas gingivalis(P. g.菌)を起菌し、5 mg/Lヘミン、1 mg/Lメナジオン添加トッドヘヴィットブロス(以下「THBHM培地」と略記)に植え、37 ℃、アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製)を用いた嫌気条件で、48時間程度静置培養する予定であったが、P. g.菌の生育が認められなかった。そこで、THBHM培地の代わりにATCC指定培地(Tryptic soy broth)を用いて培養を行うことにした。その結果、P. g.菌の生育を認めることができた。その後、48時間培養し上清の回収を試みようとしたが、嫌気条件が悪くP. g.菌を十分増殖させることができなかった。このため、計画通りに培養上清を回収することができず、ジンジパインの精製まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
培地にヘミンを加えると酸素耐性が向上することがわかったので、添加して培養を試みる。それでも成育できない場合は、ジンジパインの活性酵素であるジペプチドペプチターゼスクリーニングキットを用いて、酵素抑制作用のある物質の探索を行う。 また、引き続き、ダウン症候群患者の唾液中の歯周病菌のPCR検査を遂行し、症例数を20症例まで増やし、統計分析を行う。
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Causes of Carryover |
P.g菌の培養がうまくいかず培養上清を回収することができなかったので、それ以後の酵素活性の抑制効果を調べるための薬品と実験器具を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、ジペプチドペプチターゼスクリーニングキッドを使用して検討する予定なので、翌年度分として請求した研究費と合わせて陽性効果を調べるための薬品と実験器具購入に使用する予定である。 また、新型コロナ流行が継続していて学会がWeb開催になったため、交通費が不要になり次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した旅費と合わせて、次年度、学会が通常開催になった際に使用する予定である。
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