Outline of Annual Research Achievements |
アフィン部分空間と閉凸錐の交わりに対して定まるsingularity degree(特異度)は, 面的縮小法と呼ばれるアルゴリズムの最小反復回数で定義される. しかし, 面的縮小法は概念的なアルゴリズムであり定義としては扱いにくい. そのために, 等価となる条件を導出して, それをsingularity degreeの定義にしたい, というのがこの研究の根底にある. この目標として, singularity degreeを用いた議論の精密化を目指した. 具体的には, アフィン部分空間と閉凸錐が接する場合の交互射影法の収束率の精密化を行なった. この研究では, 二つの閉凸錐を対象にした. まず, 閉凸錐として半正定値錐については, 3*3の対称行列空間を対象にして, 収束率がすでに知られている上界値と一致する例を構成し, 収束率を厳密な意味で求めた. また, アフィン部分空間が直線の場合も議論し, 収束率が一次収束かk^{-1/2}(kは反復回数)しか現れないことを明らかにした. しかし, 半正定値錐では議論が複雑な場合が多く, 特定の初期点に対する収束率の議論はできたものの, それ以外では収束率の(厳密な)評価ができていない. そこで, 半正定値錐と同類の性質を持った扱いやすい閉凸錐として, 二次錐を扱った. 厳密な収束率が一次収束あるいはk^{-1/2}であることを証明した. 一方, 閉凸錐が二次錐の直積である場合は, やはり解析が難しい. そこで, 既存の上界値と一致する例と, それよりも良い例の二つを構成した. これらを3つの論文としてまとめている. 現時点で査読中であるため, 研究発表の項目には書けないが, これらの論文はarxiv(以下のurl)で公開している. arXiv:2401.02084 arXiv:2401.15276 arXiv:2401.16689
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