2020 Fiscal Year Research-status Report
顕微鏡下in situ振動刺激負荷デバイスの開発と骨芽細胞の応答特性評価
Project/Area Number |
20K12601
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 克也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (10403651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メカノトランスダクション / 細胞バイオメカニクス / 骨リモデリング / 力学的刺激 / 微振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
3カ年で計画している研究課題の初年度である本年度は,顕微鏡in situ振動刺激負荷デバイスの開発を行う計画であった. デバイスは,研究課題の申請時点においてコンセプトと大まかな設計が完了していた.そこで,本年度は詳細設計と製作を行った.組み立てと動作試験を行った結果,当初の設計通りの動作が確認できた.また,製作したデバイスにガラスボトムディッシュを取り付け,カルシウムイオン蛍光指示薬と細胞質蛍光色素をローディングしたサンプルを実際にレーザー共焦点顕微鏡で観察した.使用する対物レンズの種類・倍率,レーザーパワー,スキャン方法,光電子増倍管のゲインなど,様々な観察パラメーターを調節しながら,微振動刺激負荷に対する骨芽細胞カルシウム応答のリアルタイムその場観察の実現可能性を検討した.その結果,無理のない観察条件の下で細胞応答の蛍光観察が可能であることが分かった. レーザー共焦点顕微鏡で撮像する際のスキャンモードについて,低速なガルバノスキャンモードと高速なレゾナントスキャンモードの2種類で撮像し,検討した.その結果,レゾナントスキャンモードでは,微振動刺激付与中の細胞形状のゆがみが小さいものの,ゆがみを完全になくすことは出来ず,かつ時系列で撮像した細胞画像の細胞重心位置が移動するため撮像画像の画像解析時に支障が出ることが分かった.一方,ガルバノスキャンモードでは,細胞形状に大きなゆがみが生じるが,時系列撮像画像での細胞重心位置は移動しないことが分かった.これらの結果から,ガルバノスキャンモードで撮像することで,細胞の蛍光輝度値の時間変化を画像解析により計測が可能であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は微振動刺激負荷デバイスの開発を行う計画であった.その計画に対し,デバイスの設計と製作は大きな支障を生じることなく順調に進行した.また,製作したデバイスを用いて動作試験を行ったところ,当初の想定通りの動作を行うこと.また再現性良く所定の振動を発生させることが可能であることを確認した. また,製作したデバイスにガラスボトムディッシュを組み込み,蛍光色素をローディングした細胞サンプルを実際にレーザー共焦点顕微鏡ステージに取り付け,観察が可能であるかどうかの条件検討を行った.その結果,無理のない観察条件下において蛍光観察画像が撮像可能であることが分かった.レーザー共焦点顕微鏡のスキャンモードについても二種類あるガルバノスキャンモードとレゾナントスキャンモードの両方で撮像を行い,撮像モードの違いによる取得画像の比較と画像解析適用への可否を判断した.その結果,ガルバノスキャンモードの方が,細胞の蛍光輝度値変化を計測するのに適していることが分かった. これらの研究成果は,本年度の研究計画であった微振動刺激負荷デバイスの開発を概ね達成していると言え,研究課題は順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究計画は概ね順調に進展し,微振動刺激負荷デバイスの開発はほぼ完了した.しかしながら,開発したデバイスの組み立てにおいて圧電アクチュエーターを固定するボルトの締め付けトルクが適切でない場合に,発生する振動波形にゆがみが生じることが分かった.現在は,圧電アクチュエーターの固定治具の再設計を行っている.ただし,この設計変更は軽微であり,研究計画への影響は少ない. 研究計画2年目の本年度は,開発したデバイスを用いて,微振動刺激を受ける骨芽細胞のカルシウムシグナル応答のリアルタイムその場観察系の確立を目指す.基礎となる共焦点レーザー顕微鏡の撮像条件は初年度にある程度検討し,無理のない撮像条件下で観察が可能であることが分かっているため,おそらく大きな支障が生じることなく観察系の確立は可能であると推察される. なお,研究課題の申請当初は想定していなかった新しいカルシウムイオン蛍光指示薬が上市されていることが分かった.現在の実験系では二種類の蛍光指示薬を使用しているが,新しいものは一種類の蛍光指示薬でレシオメトリー観察を行うことが可能である.これは現在の実験系で問題になっている二種類の蛍光色素の褪色速度の違いなどを解決できるため,当初の研究計画には含まれていなかったが,我々の実験観察系への適用が可能であるかどうかを検討する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,学術講演会がオンライン開催となった.そのため,当初計上していた出張旅費について,実際には出張は一度も実施されなかった.したがってその分の金額が未使用となり次年度へと繰り越された. 次年度については,新型コロナウイルスの感染拡大状況に左右されるが,一部の学術講演会については現地での開催を予定してるものもある.したがって,現地で開催された場合には出張旅費として繰越分を使用する予定である. しなしながら,感染拡大状況が好転せず,学術講演会がオンライン開催のままとなった場合には当初の研究予算計画を変更し,申請段階での研究計画には含まれていなかった実験条件を追加で採用することとし,そのために必要となる消耗品や試薬などの購入に充てることを検討する.
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Research Products
(3 results)