2022 Fiscal Year Annual Research Report
顕微鏡下in situ振動刺激負荷デバイスの開発と骨芽細胞の応答特性評価
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20K12601
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 克也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (10403651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メカノトランスダクション / 細胞バイオメカニクス / 骨リモデリング / 力学的刺激 / 微振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究計画年度の最終年度として,周波数を変化させた微振動刺激を骨芽細胞に付与し,細胞のカルシウムシグナル応答特性の評価を行った.45Hzから120Hzまでの周波数帯域で周波数を15Hzきざみに変化させ,各周波数あたり5分間の微振動刺激を付与し合計で33分間,骨芽細胞のカルシウムシグナル応答を観察した.実験条件は3群作成した.一つは45Hzから120Hzまで周波数を上昇させていく群であり,もう一つは120Hzから45Hzまで周波数を下げていく群,加えて周波数をランダムに変化させる群である. 実験の結果,周波数を上昇させる群と下げていく群においては,応答を示す細胞の割合が60Hzで最も高くなり,45Hz・75Hzが次いで高かった.さらに90Hz,105Hzと60Hzから周波数が遠ざかるほど細胞の応答割合は低下した.この結果から,骨芽細胞が敏感に感知する周波数は60Hzを中心とする周波数帯であることが示唆される.しかしながら,周波数をランダムに変化させる群においては,他の二群で見られたような傾向は観察されず,細胞応答率と振動周波数との関連は見いだせなかった. この結果の原因について考察したところ,一つの周波数条件における振動付与時間である5分間が短かった可能性が考えられる.骨芽細胞が微振動刺激を受けてからカルシウム応答が発生するために必要な時間が5分間では不十分であり,一つの周波数条件に対する骨芽細胞の応答が発生する前に次の周波数条件への切り替わりを発生させてしまったのかもしれない. 周波数ランダム群では想定した細胞応答特性を確認できなかったが,他の二群においては60Hzを中心とする周波数が骨芽細胞を刺激するために有効であることを示唆する結果が得られており,当初の研究目標は達成されたと考えている.
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Research Products
(6 results)