2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a pulatile VAD having a valve mimicking aortic valve
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20K12611
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
白井 敦 近畿大学, 工学部, 教授 (20302226)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 振動型ポンプ / LVAD / 逆止弁 / 流体回路 / ポンプ特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,前年度に引き続き大動脈弁を模擬した逆止弁の作成方法を検討するとともに,ポンプ加振システムおよび試験用流体回路の設計変更ならびに製作を行った. 前年度に試作した逆止弁には,円筒形弁座内部に仕切り板を設置しており,これをガイドにして弁膜を接着していた.しかし,実際の大動脈弁にはそのような板が存在しないため,仕切り板の無い弁座を用いた逆止弁の作成方法を検討した.しかし,本手法で作成した弁は,とくに高周波で駆動させた場合に弁膜が剥がれるという問題が発生した.前年度も同様な問題が発生したがその同形状でも頻度が高くなり,その原因を究明するとともにより強固な接着方法を検討している. また,前年度の実験において,弁の長さによってポンプの吐出流量が変化する可能性が示唆された.これを検証するために,弁座の円筒を厚くして弁膜との接着面積を増やした逆止弁を作成して追試を行った結果,とくに振動管を高い振動数で駆動した場合には弁が長い方が高い吐出流量を得られたが,前年度と比較して差が現れる加振周波数が上昇した.前年度との大きな違いは弁座の厚さにあり,それに起因して弁の流路断面積が減少したことが一因と推察される. 試験用流体回路のポンプ加振システムに関して,従来のものはクロススライダ機構を用いて偏心したモータの回転運動を振動管の往復直線運動に変換していたが,モータ軸に曲げ方向の力がかかり,軸が折れる場合があった.また,モータの回転数は自作の回路を用いて制御しており,精密な設定が困難であった.そのため,加振システムを一から設計し直し,スライダ・クランク機構を用いたものを作成した.また,防振フランジについてもゴムブッシュを用いて作成した.その結果,ポンプ稼働時の振動が大幅に低減された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆止弁の作成方法については,前年度から改良を加えているものの,結論には至っていない.しかし,令和3年度は,新たな加振システムを構築し,堅牢性と操作性が大幅に向上した.ただ,コロナ禍による部品供給の遅れによって,逆止弁を設置しない場合の特性(圧力変動が発生するか否か)は現在確認中である.また,弁座形状によってポンプ特性が変化するという知見は重要な成果であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,まず,新たに作成した試験用流体回路の特性を計測する.本システムでは防振フランジに蛇腹状のゴムブッシュを使用しているため,その伸縮がポンプの圧力計測に影響を与える可能性がある.そのため,まず逆止弁を設置せずにポンプを駆動し,圧力変動を計測する.また,弁座と弁膜の接着方法を確立させ,初年度に作成した弁の弁座と同内径の弁を作成して,弁の長さがポンプの送液性能に与える影響を解析する.さらに,ポンプ下流負荷を変化させてポンプ特性を計測する.
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Causes of Carryover |
次年度への繰り越しは約19万円で,ほぼ計画通りの使用であった.なお,これはコロナ禍によって出張旅費が不要になったことと,令和4年度に購入予定であったハイスピードビデオカメラを購入したことでほぼ相殺された結果である.この繰り越しは,次年度の試験用流体回路の材料や流量計の購入費用に充てる予定である.
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