2021 Fiscal Year Research-status Report
The practical research about utilizing humanities materials as microcontents
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20K20141
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等) |
Principal Investigator |
鈴木 親彦 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), データサイエンス共同利用基盤施設, 特任助教 (60803434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロコンテンツ / IIIF / 江戸 / 都市 / 観光 / 人文情報学 / 非文字情報 / 絵巻物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまでマイクロコンテンツ化作業を行ってきた江戸の名所情報、江戸の商人情報を空間情報と紐付け、現在の緯度経度情報などからアクセス可能にするための公開作業を進めた。 「江戸観光案内」「江戸買物案内」に含まれる人文学資料マイクロコンテンツをROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センターが構築した江戸に関するデータポータルサイト「edomi」上で公開するために、現実の空間上の各種の情報と紐づける必要が生じた。そこで、「文書空間識別子と実体空間識別子の双方向結合」というデータの整理方法を考案した。これは、原典である人文学資料から抽出した各種の情報に「文書空間識別子」を、緯度経度情報や産業分類などの現実の空間の情報に「実体空間識別子」を、それぞれ一意になる様に与えて双方向に変換可能な形でリンクする手法である。この手法を用いて、現在の視点での情報と人文学資料に含まれる情報を結び付けることに成功し、「edomi」上でマイクロコンテンツ化した江戸の観光・商人情報を展開することができた。 また、非文字情報を軸とした人文学資料マイクロコンテンツ化の実践の別形態として、機械学習と連携しつつ美術作品の一部を抽出し、デジタル空間上で整理して様式分析を行う「GM法」を提案した。このGM法を利用して、『遊行上人縁起絵巻清浄光寺甲本』について、顔貌・植栽・水面表現などを網羅的に分析し、作者同定などの美術史的な成果を得ることに成功した。 いずれも研究のプラットフォームとしてIIIF Curation Platform(ICP)を継続利用している。人文学資料マイクロコンテンツ化の成果をICP開発へフィードバックも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで蓄積してきた人文学資料マイクロコンテンツを、「文書空間識別子と実体空間識別子の双方向結合」を用いて「edomi」を通じて公開し、研究活用に供するとともにマイクロコンテンツの新しい活用方法を示した。 論文および口頭発表として『じんもんこん2021』において「人文学資料マイクロコンテンツの実世界との双方向結合とデータポータル「edomi」 」を行った。さらに第16回CODHセミナー「「まち」や都市のデジタルアーカイブ - 歴史ビッグデータと実世界での利活用」において「edomi構築を通した歴史資料と実世界の結合」と題して、より一般に分かりやすい形での研究成果の講演を行った。 また、GM法を活用した『遊行上人縁起絵巻清浄光寺甲本』の研究に対しては、国際学会JADH2021においてStyle Comparative study of Japanese medieval picture scrolls focusing on landscapes using GM Method with IIIF Curation Platformを発表した。さらに、情報処理学会の2021年度山下記念研究賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
人文学資料から一定の粒度でデータを取り出して再編成し研究活用可能にする「人文学資料マイクロコンテンツ化」の段階については、「文書空間識別子と実体空間識別子の双方向結合」「GM法」によって一定の手法確立が完了している。 2022年度は、マイクロコンテンツ化した情報を活用して研究を深める手法の確立を目指していく。具体的には、edomi上で公開している江戸の観光・商人情報と、実際に江戸を旅した旅行者の記録から取り出したマイクロコンテンツを結合し、都市江戸の状況を明確にする。 このように「5W1H」の形式でマイクロコンテンツにメタデータを付与し、時空間情報を軸にまとめることを「歴史的行動記録」と呼ぶ。この記録手法を確立することによって、より動的な江戸の都市空間の再構築を行い、マイクロコンテンツ化の手法を広く応用可能なものとしていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、予定していた国際学会DH2021が延期、国際学会JADH2021及び人文学とコンピュータシンポジウムじんもんこん2021はオンライン開催となったため、旅費に充当していた分の支出が発生しなかった。また、データ整備に充てる人件費については、前年度に十分なデータが集まっていたため発生しなかった。 2022年度より群馬県立女子大学へ転職し、当初予定していた研究環境が変化するため、残額はその環境整備に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)